●はじめ(東京・麻布十番)

手前「とり唐揚」、奥「ナンコツ立田揚」、ともに900円。鶏肉は、鹿児島ほか九州産地鶏のモモ肉を使用。

ナンコツの立田揚も
オーダーするのが藤崎流

「とにかく、何をオーダーしてもおいしい」

 そう、藤崎さんが太鼓判をおすこちらは、2015年の『ミシュランガイド東京』のビブグルマンに掲載された家庭料理を主とする居酒屋。天現寺、本郷を経て、ここ西麻布に店を構えてから今年で35年。場所柄、テレビ局や広告代理店などに勤める、おいしいもの好きが支持する、実力店だ。

 「魚料理を中心としたお品書きのなかに、突如“とり唐揚”、“ナンコツ立田揚”と、肉料理のメニューが書かれていて。これは試さずにはいられないとダブルで頼んだら大正解!」と、唐揚げに関しては百戦錬磨の藤崎さんもうなるおいしさ。それからは、とり唐揚をメインに、ナンコツ立田揚を“チェーサー代わり”に、ダブルでオーダーするスタイルが定番になったそう。

「ナンコツも椅子から立ち上がってしまうくらいおいしい。軽やかでコリコリとした食感が、唐揚げの“箸休め”になるんですよ(笑)」

揚げもの2品を食べても胃がもたれないのは、上質な油のおかげ。絶妙な揚げ加減もプロの仕事を思わせる。

 味付けは、醤油をベースに調味料、にんにく、しょうがと、いたってベーシック。開店当初から変わらないその味は時代に左右されない、一本筋の通ったおいしさがある。人気店ゆえに予約で混み合うが、是が非でも賞味したい。

▼聡子の「眼」

ダブル揚げ物には
レモンサワーを合わせて

 ここのレモンサワーは、フレッシュなレモンをまるごと1個しぼっています。レモンの果汁をたっぷり含んだシュワシュワとしたサワーが、唐揚げの油をさっぱりと洗いながしてくれます。西麻布が誇る、おいしい三つ巴ですね。

仕込みで忙しいなか取材に応じてくれた店主。藤崎さんと、昔話に花が咲いた。10年たっても馴染みのお店が変わらずあるのがうらやましい。

はじめ
所在地 東京都港区麻布十番1-5-4
電話番号 03-3404-8736
営業時間 17:00~24:00(L.O. 23:30)、土曜 17:00~23:00(L.O. 22:30)
定休日 日曜・祝日

2017.12.23(土)
文=吉村セイラ
撮影=平松市聖