通勤時間はたったの5分
新鮮な野菜と温かい人々に囲まれて

 移住してからの勝又さんは、「生活をしている実感がわき、とても充実している」という。

 都会にいたときは通勤電車に揺られて往復2時間だったが、今は職場まで車で5分。家から保育園までも15分。仕事は9時から16時までなので、夕方いったん家に帰って家事をしてからお迎えに行く余裕もある。ストレスがなくなり、子どもに接する時間がたっぷりとれることがうれしい。

「独身の頃は、仕事優先でキャリアをつみましたが、今の働き方のほうが自分には合っていると思うようになりました」

 さらに、以前は生産者や無農薬の野菜を探す苦労があったが、鹿角市は無農薬野菜もいっぱい。新鮮な野菜を新鮮なうちに、旬のものを旬のうちに食べられる幸せを日々実感している。

ルクルーゼの鍋を使って、大量にいただいた柿とりんごでジャム作り。鹿角のりんごは甘くてジューシーなので、少しの砂糖でおいしくできる。

 家の窓を開ければ山々が見え、八幡平などの名勝地にも車で30分ほど。天然温泉もたっぷりあり、自然には事欠かない。子育てをする環境としては最高だ。

 移住前に一番心配だった「知り合いがいない中での子育て」も、問題はなかった。人と接するのが大好きな勝又さんは、コンシェルジュとして飛び回るうちに、すぐに知り合いはできたし、何より人々が温かい。子どもが病気になったときなどは、5人いる残りのコンシェルジュで補い合うことができる。結婚している人も多く、チームワークよく乗り越えることができている。

 無理をする暮らしはしたくないという勝又さん。勝又さんにとっての「無理」とはどんなことなのか聞いてみた。

「家族の食事がおろそかになってくるとどこかで無理をしていると感じます。週に何回かお惣菜を買うのはいいのですが、毎日になってしまったり、手をかけて料理を作れなくなったら、仕事の量が多くなったのかなという判断基準でした」

 その判断基準は人によって違うと思うが、自分でその物差しを持っていて、無理をしているときに黄色信号がちゃんと点滅することは、とても大切なことだと思う。

 勝又さんは、移住してからその信号が点滅することがすっかりなくなってしまったそうだ。知り合いの農家さんやコンシェルジュとして出会った方から、新鮮な野菜や果物をお裾分けしていただけるし、新鮮な野菜を使えば素材を活かした料理もおいしく食べられる。

 今は「柿がたくさんなっているので、それでジャムを作っています」とうれしそうに語る。リンゴを使ったアップルパイやジャムを作るのも楽しみの一つだ。

 「まさか自分がこんなに変わると思いませんでした」と勝又さん。

 きらびやかな世界に身を置き、お買い物やジュエリーが大好きだった自分。大手百貨店に勤務し店長までつとめ、バリバリと働いていた自分。それが今は子どもと一緒に泥のついた野菜を収穫することを楽しみ、夕方の16時に職場を出て自然の素晴らしさに感動している。

 ジュエリーは今でも好きだ。けれども、つける機会があまりないので、時々出して眺めて満足。鹿角には大きな百貨店はないが、魅力的な個人商店はたくさんある。盛岡、弘前、東京などに出張するときに、都会の空気を十分楽しむこともできる。

「メリハリのある今の生活がとても気に入っています」

八幡平の頂上付近で紅葉の時期にパチリ。将来家族で山登りするのが今から楽しみだ。

 暮らし方を変えたら、家事と育児の両立の仕方が自然と変化し、無理をしなくてすむようになった。新しい自分に気づき、好きなことが増えた。

 環境を変えるということは簡単にできることではない。しかし、豊かな生活とは何かを考えたとき、「移住」は一つの答えになるのかもしれない。

Column

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2017.12.25(月)
文・撮影=HITOMINA

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