一人呑みの極意を達人から学ぶ

バイスサワーのピンクに、ブルーのネイルが似合ってます。

「そうですね。下町の小さな工場で作られてるから、そんなにたくさん流通してないんです。だからバイスがあるところではバイスばっかり頼む人もいる。うちの店でもバイスしか呑まない人もいますね」(會田さん)

「へーっ! わかりました。赤星と金宮とバイスがあるお店は、いいお店!ってことですね(笑)。えるえふるに来るのは、どういう方が多いんですか?」

アナログレコードを模したコースター。

「半分ぐらいは音楽好きな方。CDショップで売ってる音源を試聴しながら呑むこともできるんですよ。あとは地元の方とか、ネット見つけて安くて美味しそうな酒場があったので来ましたっていうお酒好きな人とか。20代が一番多くて、女性のお客さんも多いですね」(會田さん)

「エサ箱」をDigするもなりさん。

「私も一人でいろんな居酒屋さんとか行ってみたいと思うんですけど、なかなかのれんをくぐる勇気がなくて。會田さんは、一人で呑みに行かれることが多いんですか?」

タコとアボカドのマリネ(350円)。

「そうですねぇ。基本的に一人で行きますね。というか、僕は一人で呑むのが好きなんです。よく『一人で呑んでる間は何してるの?』って聞かれるんですけど、何もしてないんですよ。強いていえば、その店の雰囲気を楽しんでる」(會田さん)

 そして、ずーっとメニューを見ているのだという。

「一人だと食べられる量に限界があるので、この中だったら俺はどれをチョイスするんだ?っていうのをずっと考えてる(笑)。で、まわりの人が食べてるものもチラっと見たりして『ああ、あれが名物なのか、これが美味しいんだな』とか、だんだん把握していくんです」(會田さん)

「面白そう! 私みたいなのが一人で酒場に入っていったらおかしいですかね?」

タコとアボカドのマリネが美味しさに、自分でも作ってみようと思案中のもなりさん。

「全然そんなことはないと思いますよ! 若い女性で一人で呑みに来てる人も多いですし、まわりのお客さんからは喜ばれるんじゃないでしょうか。自分の親世代とか、もうちょっと上の世代も多いから、立ち呑み屋に若い女の子がいるってだけで、めちゃくちゃおごってもらえたり。男の僕でも若いってだけで、そういう体験は何度もありましたよ(笑)」(會田さん)

「えっ、そうなんですか!?」

「でも、そこは難しいところでもあるし、危ない部分でもあるんですけどね。うるさく絡んでくるやつは、ずっとうるさいままだし……そこでスマートに『よく来たね』みたいな感じでさっとおごってくれたりする雰囲気になれれば、すごく面白くなると思います。それに、入ってみてあんまり雰囲気が合わないなと思ったら、すっと帰れるのが立ち呑み屋の良さでもあるから」(會田さん)

レコードやCDに囲まれながら呑むお酒は、また格別。

「なるほど〜。思い切ってのれんをくぐってみると、何か面白い世界が待ってるかもしれないですね」

 シンガーとしての扉を開いた新代田の地で、酒呑みとしての新たな扉も開けちゃったかもしれないもなりさんなのでした。

飲み屋 えるふえる
所在地 東京都世田谷区代田5-28-3
電話番号 03-6883-7180
営業時間 月~金曜 19:00~24:00、土・日・祝 17:00~24:00
※14:00~の場合もあるので、詳しくはTwitterを確認のこと
定休日 不定休

脇田もなり(わきた もなり)
1995年生まれ。長崎県五島列島生まれの大阪育ち。2012年からガールズグループ、Especiaのメンバーとして音楽活動を開始。2016年に同グループを卒業し、同年、シングル「IN THE CITY」でソロデビューを果たす。2017年7月にデビューアルバム『I am ONLY』を発表。11月にはシングル「WINGSCAPE」をリリースした。
http://www.monariwakita.com/

脇田もなり「WINGSCAPE」
4枚目のシングルの全面プロデュースを手がけたのは、冗談伯爵(前園直樹+新井俊也)。アッパーなジャズファンクチューンとレアグルーヴ系ファンクの最強カップリングとなっている。7インチのアナログ+CDのセット。
HIGH CONTRAST/VIVID SOUND 発売中
1,500円(税抜)

Column

脇田もなりの名酒場IN THE CITY

人懐っこい歌声とちょっと通好みなサウンドで注目を浴びる新進気鋭のフィメール・シンガー、脇田もなり。お酒が大好き! だけど酒場ビギナーな彼女が、東京近郊の名店を探訪しながら、立派な酒呑みレディへの階段を昇っていく模様をお届けします。

2017.12.18(月)
文=宮内 健
撮影=山元茂樹