冬本番、鍋料理の季節がやってきました。鍋料理は自宅でも作ることができるだけに、外食時は専門店ならではの味を楽しみたいもの。食通に愛される「水炊き」「ちゃんこ」「うずら鍋」「あんこう鍋」の名店をご紹介します!

» 第2回 ちゃんこ「割烹かりや」
» 第3回 うずら鍋「四季の味 ふじ芳」
» 第4回 あんこう鍋「鮎正」

●新三浦ガーデン(東京・築地)

歴史ある本店すぐ隣の姉妹店で
気軽に水炊きを

水炊きは、最初に鶏、次に野菜、最後にお米を入れて雑炊と、順番に楽しんでいくスタイルです。

 骨付きの鶏肉と野菜で作る「水炊き」は、今や全国的に親しまれていますが、もとは博多の名物料理。そんな本場博多で明治43年に創業した「新三浦」は、文豪・川端康成も足を運んだ水炊きの名店。

 創業者の孫にあたる白井善三郎氏が昭和38年に開業した東京店「築地 新三浦本店」は、接待利用も多い、全室個室の日本料理店。友人同士で気軽に水炊きを楽しむなら、本店の隣にある「新三浦ガーデン」がおすすめです。

 水炊きの作り方は博多の本店と全く同じで、ベースとなるスープの材料は新鮮な若鶏のガラ、手羽、端肉と水だけ。それを8~10時間かけて煮込むと、自然にスープが白濁し、まろやかなコクが生まれるそうです。

左は「前菜の盛り合わせ」、右は「つくねのたれ焼き」。鶏の旨みが凝縮された「鶏の煮こごり」は、前菜の中に必ず入る定番です。

 水炊きのコースはいくつか種類がありますが、全コース共通で供されるのは「新三浦特製スープ、水だき、野菜、雑炊、香の物、季節のフルーツ盛り合わせ(10,000円のコースはマスクメロン)」。

 一番人気の「水だきAコース」(6,800円、サービス料別)では、鶏の煮こごりや穴子しんじょう、石川芋などを彩りよく盛り合わせた「季節の前菜」と、さりげなく軟骨の食感を利かせた「つくねのたれ焼き」も楽しむことができます。

極細の博多ねぎの小口切りを浮かべた自家製ポン酢は、カドの取れたマイルドな酸味で、上質な鶏の旨みを引き立てます。

 テーブルに鉄鍋が運ばれたら、いよいよ水炊きの番です。コンロで3分ほど鍋を温めたら、まずはまろやかなコクのあるスープをいただき、身も心も温まりましょう。

 「新三浦」では、鍋に具材を入れるのも全てお店の方におまかせ。最初はふんわり柔らかな「つくね」、次は身離れのよい「骨付きモモ肉」が、順番に小鉢に取り分けられます。自家製ポン酢につけて味わえば、朝締めの若鶏の純粋な旨みが広がり、気持ちも頬もゆるみます。

野菜は白菜、椎茸、エノキ、春菊。美しく切り揃えられた野菜は、均一に火が通り、香りも食感もいい。

 上質な鶏に続いて野菜や豆腐を満喫したら、お店の方が丁寧に野菜屑を取り除いたスープの中にごはんを加え、雑炊の準備が始まります。鍋に流し入れられた溶き卵が踊りながら固まる様子は、思わず動画を撮りたくなる臨場感。

奥久慈卵を使った〆の雑炊。

 栄養満点のスープを吸った雑炊は滋味溢れる味わいで、お代わり必至。やさしい味に癒やされつつエネルギーをチャージしたい時は、「新三浦ガーデン」で水炊きの鍋を囲んでみてはいかがでしょうか。

シックなインテリアのテーブル席。席はパーテーションで区切ることができ、半個室感覚でくつろげます。年末年始は混み合うので予約はお早めに。

新三浦ガーデン
所在地 東京都中央区築地1-8-4
電話番号 03-3541-0141
営業時間 ランチ 11:30~14:30/ディナー 17:00~22:00
定休日 日曜(連休中の日曜は営業の場合もあり。お問い合わせください)
席数 40席

2017.12.12(火)
文=小松めぐみ
撮影=釜谷洋史