天球儀やタロット占いなど
体験型の展示が楽しい

ヴィンチェンツォ・コロネリによる17世紀の天球儀。オーグメンテッド・リアリティで、星座の名前もしっかりわかります。

 次なる部屋は「天文学(Astronomy)」です。

 この部屋の中央にあるのは、17世紀に制作された美しい天球儀。Google Arts & Cultureとのコラボによるオーグメンテッド・リアリティで、この天球儀を回すヴァーチャル体験と、その詳細をモニターで見ることができます。

 当時の星座の名前のなかに、リーマス・ルーピン、シリウス・ブラック、ベラトリックス・レストレンジ、ドラコ・マルフォイといった登場人物の名前も見つかります。

1506~1508年にレオナルド・ダ・ヴィンチが書いたノートブック。地球の周りを太陽と月が回っているという前提で、光と影の関係を図解しています。 (C)British Library Board
中国で占いに使われた神託の骨。熱を加えたうえで、ひびの入り方で占います。月食の記述があるため、紀元前1192年12月27日夜9時半から11時半の間に占われたと判明しています。(C)British Library Board

 天球儀を楽しんだら、隣の「占い学(Divination)」の部屋へ。

 1880年代に英国で製造された手相観のための手のモデルや、数ある大英図書館の資料のなかでも最古の紀元前1192年の中国で未来を占うために使われた神託の骨などの展示のほかに、この部屋には自分の過去・現在・未来を占うことができるデジタルのタロットカード装置もあるので、ぜひお試しを。

左:タッチパネルで自分の過去・現在・未来を占えます。
右:「占い学」の部屋にある、手相観のためのモデルや文献など。

 さらに、次の部屋「闇の魔術に対する防衛術(Defence Against the Dark Arts)」では、悪の力から身を守るお守りや、また闇の生物に関する資料も見学できます。ここには、日本のカッパに関する文献も。

「闇の魔術に対する防衛術」には、「利根川図誌」のなかの「ねねこ河童」に関する記述が。

 いよいよ、授業も最終章の最後から2番目の部屋は「魔法生物飼育学(Care of Magical Creatures)」。

「魔法生物飼育学」の展示室の丸窓の向こう側を、不思議な生き物が鳴き声を上げながら通り過ぎていきます。

 ここには自らを火葬し、灰のなかから蘇る不死鳥を描いた13世紀前半の文献や、なんと18世紀に日本で見つかったとされながらも実は偽物だったという人魚が展示されています。

 人魚との関連で、ここには第2作目の「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で編集者によってボツにされた原稿(ハリーとロンの乗ったフォード・アングリアが湖に突っ込み、英語を話す人魚に会う、という原稿が、暴れ柳に突っ込むという設定に差し替えられたのだとか)も展示されています。こちらもハリポタ・ファンには必見です。

史上最高落札額を記録した巨大本「The Birds of America」のなかに登場するシロフクロウ。ハリーのヘドウィグと同じです。この本は、大人4人がかりで運ばなければならないほどの重量だとか。
灰のなかから蘇る不死鳥を描いた13世紀の文献。(C)British Library

 さて、これにて授業は終了。最後の部屋「過去、現在、未来(Past, Present, Future)」は、ハリー・ポッター作品のさまざまな記録の部屋です。

 競売にかけられたローリング自身の書き込みがいっぱいの初版本や、シリーズ5作目にあたる「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の詳細にわたる手書きのプロットのほか、作者自身にとって意味深いメモなどが、たっぷりと披露されています。

 学術的でありながら、遊び心あふれる大人から子供まで楽しめるエキシビションです。前売り券も記録的な売れ行きのようなので、会期中にロンドンにお越しになる方は、ぜひ前売り券を入手して足を運ばれることをおすすめします。

Harry Potter : A History of Magic
(ハリー・ポッター ヒストリー・オブ・マジック)

会期 開催中~2018年2月28日
会場 PACCAR Gallery The British Library
所在地 96 Euston Road, London, NW1 2DB
料金 大人16ポンド
http://www.bl.uk/

【取材協力】
英国政府観光庁

http://www.visitbritain.com/jp/ja