サイクリングを楽しみながら
ゴッホゆかりの地を巡る

左:身長164センチメートルの等身大のゴッホ像。
右:広場には『じゃがいもを食べる人々』の像もある。

 ここからは自転車を借りて、もう少し広範囲にゴッホの足跡を訪ねることにした。まずは、街の中心にある広場へ。ここには、等身大のゴッホ像と、『じゃがいもを食べる人々』の像がある。広場に面した教会もゴッホの手によって描かれている。ここからサイクリングのスタートだ。

左:広場に面した教会。ゴッホはこの教会も描いている。
右:ここから自転車に乗ってさらにゴッホゆかりの地を巡る。

 ヌエネンには「ファン・ゴッホの小径」と名づけられたサイクリングルートがあり、観光案内所を兼ねている「フィンセンター」で地図をもらうことができる。道に迷うことなく、説明も聞きながら観光したいなら、ガイドさんが同行してくれるサイクリングツアーがお勧めだ。

左:緑の中に佇むファン・ゴッホ教会。ゴッホの父親が牧師を務めていた。
右:インフォメーションボードには、ゴッホが母親のために描いた『ヌエネンの教会から
出る人々』とともに説明が書かれている。

 広場を後にして、自転車で最初に訪ねたのは1824年に造られた小さな教会「ファン・ゴッホ教会」。ゴッホの父親が牧師を務めていた教会だ。ゴッホがこの教会を描いたのは母親のため。母親が転んでケガをして教会に行くことができなかったときに、「僕が教会を持ってきてあげる」と言って描いたという。

 その作品、『ヌエネンの教会から出る人々』は、2002年にアムステルダムのゴッホ博物館から盗難され、2016年にイタリアで発見されたというエピソードがある。

左:名作『じゃがいもを食べる人々』が描かれた場所。同じ場所に小さな家がある。
右:こちらのインフォメーションボードにも、ここで描かれた絵の説明があった。このサイクリングルートは、個人で訪ねても充分楽しめるようになっている。

 次に訪ねたのは街の中心から離れた小さな一軒家。ここは、『じゃがいもを食べる人々』の、フルート一家の家があった場所だ。

 それまでの画家が見向きもしなかった農家の人々の暮らしを、ゴッホはひたすら描き続けた。このとき、貧しい農家には灯りがなかったので、ゴッホはアトリエからランプを持ち込んで絵を描いたのだという。

 ガイドさんからそんな話を聞きながら、サイクリングツアーは続いた。

2017.10.12(木)
文・撮影=たかせ藍沙