名ドラマは、あなたの横に永遠に

「闇に舞う蝶、パピヨン」の決め台詞で男たちの心を射抜いた山本陽子。1986年に放送された「ザ・ハングマンV」で、シリーズ唯一の女性リーダーを演じた。

 さて、ハングマニストは今でも多く存在する。きっとあなたの横にも。

 40・50代の知り合いに「ハングマンって覚えてます?」と聞けばきっと三人に一人は「ああ。彼らのことは決して忘れられないサ……」と眩しそうに目を細めるだろう。

 事実、CREA WEB編集長からも「中学生の頃、闇に舞う蝶、パピヨンこと山本陽子の真似をしたものです」という、サンセット・メモリーなコメントをいただいた。

21世紀の女ハングマンは、橋本マナミ(左)か壇蜜(右)か?

 「ハングマンをリメイクするなら紅一点は誰にするか」というテーマで知人数人と語り合った時などは「橋本マナミしか思いつかない。役名もマナミーでいいではないか」「いや、ハングマンらしい陰があるのは壇蜜だろう。役名はダミー。モルモット小父さん(稲川淳二)の後継者として彼女のドMな魅力を堪能したい」「ちょっと待て。初期を盛り上げたタミーこと夏樹陽子様は現在も麗しさが全く衰えていない。彼女の美魔女ぶりを生かさずしてどうするッ」と、議論が深夜にまで及んだほどである。

夏樹陽子は現在65歳だが、彼女の美は初期ハングマンの頃から止まったまま。不老不死の薬を秘密裡に手に入れたのではなかろうか。写真は2014年に発売された著書『夏樹陽子 キレイの秘密』(世界文化社)。

 嗚呼、ハングマン・フォーエバー!

 この連載で音が届くなら、終わりは私の愚鈍な言葉より、お気に入りのハングマンEDを流すのに!

 「燃える事件簿」の「あ・れ・か・ら」。4の「ありがたや節」。Vの「零心会のズンドコ節」……。これまた一曲に絞れないあたり、名作たる所以。

 カッコいいドラマとは、きっと、こういうことなのさ。

田中 稲(たなか いね)
大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。現在は「関西ウォーカー」で“Kansai Walkerで振り返る! 00年代の関西”連載中。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2017.09.26(火)
文=田中 稲
写真=文藝春秋