3種類の「ハイダ」をご紹介!

左:樹齢100年以上の木から採れたぶどうから作られる特別な一本「ハイダ ヴェリタス」43スイスフラン。
右:「ハイダ フィスパーテルミネン」20.6スイスフラン。

 ハイダワインにもいろいろ種類があり、とりわけ愛好家の間でも評価が高いのが「ハイダヴェリタス」です。

オーク樽で熟成される「ハイダ ヴァリック」28.3スイスフラン。

 19世紀から20世紀初頭にかけて、猛威をふるったフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)によって、ヨーロッパ各地では多くのぶどうの木が枯れてしまいました。しかし、フィスパーテルミネン村の一部の木々は、この害虫から奇跡のように守られたといい、100年以上前から生き残ってきた希少な木々のぶどうから、この名酒はつくられるのです。

 2014年には、ロンドンで行われたワイン品評会では「ハイダ ヴァリック」が約15000本の中からナンバーワンに選ばれ、スイスワインとしては初めて「デカンタアワード」を受賞。まさに“ハイダのなかのハイダ”ともいうべき、自慢のワインなのです。

 ハイダは、村にある「レストランハイダ」をはじめとして、地元の多くのレストランやホテルで提供されているほか、人気の山岳観光地であるツェルマットやサースフェーでも味わうことができます。

左:村内の家の軒先には、ゼラニウムとエーデルワイスの園芸種が植えられている。
右:村の古い家並みのなかにたたずむ「レストランハイダ」。16世紀の建物。

 また、フィスパーテルミネン村では、毎年9月最初の週末に、ワインとグルメのツアーが開催されます。

 ぶどう畑が始まる麓の村のフィスプ(標高650メートル)から山上の1150メートルまで、ヨーロッパでもっとも高い所にあるワイン畑のなかにハイキング道が作られていて、沿道には、ワインとぶどうの木の説明が書かれた看板なども。休憩ポイントも8カ所が用意され、ワインとワインに合う食べ物(チーズやローカルのパン、乾燥肉、スープ)がふるまわれます。

 例年、参加者は2000人限定、チケットは95スイスフランで、前年10月1日に予約がスタートし、約1時間で売り切れてしまうほど。「来年、参加したい!」という人は、ぜひウェブサイトをチェックしてみて。(残念ながらドイツ語のみですが……)

「レストランハイダ」の店内。何度か改修工事済みだが、木で作られ温かみを感じる。

Restaurant Heida
(レストランハイダ)

所在地 Heruviertil 13 3932 Visperterminen
電話番号 027 946 20 96
http://restaurant-heida.ch/

西村志津(にしむらしづ)
山に魅せられ、日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドとなる。2012年の結婚を機にスイスへ移住。コーディネーターやハイキング・スキーガイドとしてスイスと日本の架け橋になる活動に努める。一方で心と身体の健康を伝えるべくヨガインストラクターとしての一面も持つ。現在、子育てにも奮闘中。共訳書に『マッターホルン最前線』(東京新聞出版局)。

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文・撮影=西村志津