新たに見つけた役者としての道

――その後、2010年に「第3回劇団EXILEオーディション」に合格。歌手志望から俳優に転身することに関してはどのように思いましたか?

 とにかく、そのときはオーディションに落ちて、自分の中で何もなくなったような気分だったんです。それでスクールに行きながら、なにかがむしゃらに頑張れることをやりたいと思い始めたとき、お芝居の道も考えるようになりました。ただ、よく映画やドラマを観ていたわけでもないので、やっぱり不安でしたし、最初の頃は怒られたり、苦戦することも多かったです。そのうち、大勢の人たちでやる作品作りが、どこか体育祭にも似ているような気がしてきたんです。

――翌11年、ドラマ「ろくでなしBLUES」で俳優デビューしますが、そのときの心境を教えてください。

 いちばん初めに撮ったのが、竹刀を持った先生役のEXILEのMATSUさんとのシーンだったんです。それがお芝居とはいえ、これから一緒に仕事をしていく大先輩であるにしろ、怖すぎて……。しかも、動きながら、決められた言葉を喋ることに抵抗感がありすぎたんです。決められた画の中、秒数の中で、上手く喋れなかったんです。でも、周りの人たちに迷惑はかけられないですし、そんなことを考えていたら、頭が真っ白になったことを覚えています。

2017.07.21(金)
文=くれい響
撮影=杉山秀樹