ワインを愛する情熱に
守られた幸福なぶどう畑

教会で作られたワイン。

 ぶどう畑を管理する組合は「Laguna nel bicchiere」、“グラスの中のラグーン”というしゃれた名前が付けられています。

 定期的に集い、ぶどうの栽培、畑の保全を行っています。

教会に併設されたワイナリー。

 取材させていただいたこの日は、畑の雑草除去と、昨年仕込んだワインの瓶詰め作業を行っていました。

天気が良かったので、ぶどう畑でランチタイム。

 労働のあとは、持ち寄ったご飯で、みんなで楽しくランチタイム。

持ち寄った昼食は、みんなで作ったワインとともに。

 もちろん、できたばかりのワインの試飲もみんなでします。もともとワインが好きだからこそ、この畑を守るために参加している人々の集まり。ボトルを開ければワイン談義に花が咲きます。

 昼夜の寒暖差が大きい海上で、海のミネラルに浸った土地で作られるぶどうは、とてもはっきりとした味の輪郭と力強い個性を持っています。それをおいしいワインとして味をまとめ、熟成させていくことは、とても難しく、だからこそ楽しいのだと語ってくれました。たくさんの愛情をかけて作られたワインは、ぶどうの個性を活かした、生き生きとしたおいしさでした。

労働の疲れも癒える楽しいランチタイム。

 時代の中で消えていく良き文化もあり、残念な話ですが、こうやって大事に守られているものがあるのは嬉しいですね。歴史を受け継ぐぶどう畑もそうですが、ワインを愛し、ヴェネツィアの文化を守りたいという人々の情熱こそが、何より素晴らしい宝なのだと思います。

藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブックはこちら。 https://www.facebook.com/chococogogo

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文・撮影=藤原亮子