「アホスープください」で
運ばれてくるのは?

 ところで、タイトルに掲げた「アホスープ」についても説明が必要だろう。「アホ」はajoと書き、にんにくという意味。アホスープはにんにくスープ、スペイン語では「Sopa de ajo(ソパ デ アホ)」という。

アホスープをオーダーしたいときは「ソパ デ アホ ポルファボール(Sopa de ajo, por favor)」。(C)株式会社メキシコ観光

 冒頭で「スペイン語はほぼローマ字読みでOK」と言ったが、これまでふたつの例外がでてきた。まずは挨拶の「Hola」がホラではなくオラとなる。スペイン語ではhの音は発音しない。フランスの高級ブランド「エルメス(Hermès)」が「ヘルメス」でないのと同じだと思えば、覚えやすいかも。

 続いて「ajo」はローマ字の感覚で「アジョ」と読みたいところだが、スペイン語でjoはホと読むため、「ajo」はアホと発音する。

 ちなみにメキシコのイケメンサッカー選手Javier Hernándezはハビエル・エルナンデス。同じくスペイン語圏であるコロンビアのJames Rodríguezはハメス・ロドリゲスだ。Jamesをハメスと読むならJames Bond(ジェームズ ボンド)はハメス・ボンド? なにやらボンド(接着剤)の名前のような気がしないでもない。

 少々話がそれてしまった。戻そう。

メキシコシティの「ラ カサ デル パストール(La casa del PASTOR)」のタコス。これを食べるとこう言いたくなるはずだ。「ケ リコ(Que rico)!!」。もちろん「おいしい!!」という意味。

 さあ、食事も終わってお会計をしたいときには、

「ラ クエンタ ポルファボール(La cuenta, por favor)」

 と言うが、店員さんを「ペルドン(Perdón)」と呼びとめ、右手を高く上げてペンで何かを書く仕草をしながら「ポルファボール(Por favor)」と言ってもOK。日本でお会計を頼みたいときに「すみません」と店員さんを呼んで、胸の前に腕や指で×印をつくり「(お会計を)お願いします」というのと同じ要領だ。メキシコでは「×印=お会計」ではないので要注意。

グアナファト風チーズフォンデュ。メニュー表に「ケソ(Queso)」の文字が出てきたらチーズ料理のこと。
手工業によって栄えたサン・ミゲル・デ・アジェンデ。民芸品市場はまさにお買いもの天国!

 そして、お別れのとき。「さようなら」は、

「アディオス(Adiós)」

 と言うが、もうひとつ英語の「See you」に相当するお別れの言葉も覚えておくといい。それが、

「アスタルエゴ(Hasta luego)」

 店を出る時なんかによく言われるので、そんなときには「アスタルエゴ」と返事をしよう。

グアナファトの山の上に立つホテル「ミシオン グランド カサ コロラダ(Mision Grand Casa Colorada)」からの景色。この感動は「ケ エルモーサ(Qué hermosa)!」(=なんて美しい!)という言葉で表現できる。

 最後に宮良さんが「メキシコで隣の人がくしゃみをしたら“サルー(Salud)”と言うといいですよ」と教えてくれた。「サルー」には「健康」という意味があり、乾杯するときもこの言葉を使う

 隣でくしゃみをする人がいたら、思い切って「サルー(Salud)!」と言ってみよう。きっと笑顔で「グラシアス(Gracias)」と応えてくれるはずだ。この一言で、相手のことがぐっと近くなったような、心が通じ合ったような気がするに違いない。

メキシコ最大の都市遺跡である、世界遺産「古代都市テオティワカン」の壮大な景色は、忘れられない思い出になるはずだ。

 今回の特集では、メキシコシティ北東に位置する世界遺産・テオティワカンのスケールに驚き、グアナファトのカラフルな街並みに心ときめき、サン・ミゲル・デ・アジェンデの新旧カルチャーの面白さに触れる、メキシコ中央高原をめぐる旅を紹介した。

 どの街を訪れるにしても、旅の面白さは人とのコミュニケーション。「オラ!」のひと言からはじまる、メキシコ旅をぜひ楽しんでほしい。

メキシコでもっとも美しいと称されるグアナファトの街並みに、¡¡Hasta luego!!

【取材協力】
アエロメヒコ航空

http://aeromexico.jp/

株式会社メキシコ観光
http://www.mexicokanko.co.jp/