渋滞ではなく「停滞」
メキシコシティ名物にご用心!

 車、車、車……。メキシコシティに戻ると、この街の名物である渋滞に遭遇。メキシコシティ周辺の人口は約2000万人、480万台の車が走っているとされ、朝夕の通勤時間帯には、とりわけハードな大渋滞に見舞われる。

「渋滞ではなく、停滞だよ」と苦笑する地元のドライバー。停滞中には、車の間を縫うようにしてドリンクやスナックを売り歩く、路上販売者たちの姿も。

 行政は、バスや地下鉄での移動を呼びかけたり、車を使用できる曜日を指定したりするなどの対策はとっているものの、一向に効果は上がらず。ドライバーができることはただひとつ、ひたすらに待つことのみ!

「メキシコシティに住んで始めた覚えたスペイン語は、『Ni modo(仕方ない)』。渋滞を見たときにこの言葉をつぶやくと、気持ちがちょっぴり軽くなるんです」 と、今回ツアーガイドをしてくれた株式会社メキシコ観光の喜代田誠人さんは笑う。

メキシコの食のトレンド
「フュージョン」に注目

 渋滞をどうにか切り抜け、裕福な若者たちが集うコンデサ地区にあるおしゃれなレストラン「Bonito」へ。

太陽の日差しが降り注ぐ、開放的な店内は、1980年に建築界のノーベル賞とも称される「プリツカー賞」を受賞した、メキシコ現代建築の巨匠、ルイス・バラガンによるデザイン。

 同店の料理のテーマは「トラディショナル×インターナショナル」。常に新しさを模索しているシェフたちが生み出す、最先端のメキシコ創作料理を味わうことができる。

揚げたミニサイズのトルティーヤの上に、アボカド&サルサや、牛肉のソテーがのった、ひと口サイズの前菜。食感が楽しい。
合鴨のローストに柑橘系のサルサソースをかけた味わい深いメイン料理。後味がなんとも爽やかで、食べ応え満点な一品。

 こうした「フュージョン」は、現代のメキシコ料理におけるトレンドのひとつ。有名レストランの多くが取り入れている人気スタイルである。

デザートにはメキシコの定番おやつ「Churros(チュロス)」を。オレンジ色の小さな壺に入っている「カフェ・デ・オジャ」(シナモンなどのスパイスが効いた甘いコーヒー)、ロンポペ(メキシコの甘い卵酒)、ホワイトチョコソース、チョコソースをつけていただく。

Bonito(ボニート)
http://www.bonito.com.mx/

2017.07.29(土)
文・撮影=中山理佐