人気アニメキャラの実写版を好演

――そんななか、高崎映画祭で最優秀新人男優賞を受賞するなど、デビュー作から高い評価を受けることについてはいかがでしたか?

 有り難いことです。でも、いきなり、(出品された)カンヌ(国際映画祭)のレッドカーペットを歩くところから始まったので、自分の感覚がどこかおかしいんです(笑)。このことがどれぐらいスゴいことかというのは、なんとなく聞いていましたけれど、本当にスゴかったです。映画の上映があった翌日に街を歩いていると、知らない人から「観たよ!」って声をかけられるんです。

――翌年には「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」でドラマ初主演をされますが、仁太(じんたん)という人気アニメのキャラを自分が演じることに対するプレッシャーはありましたか?

 初めての地上波出演だったんですが、それまでネットで七光りとか言われていたので、「また、自分はそういうリスキーなことをやるんだ」とは思いました。原作の熱狂的なファンの方からすれば、あまり嬉しくないことだとは思います。でも、観てくれるんです(笑)。思っていた以上の批判もなく、Twitterとインスタのフォロワーが倍になりました。楽しい現場でした。

~次回は新作出演映画『武曲 MUKOKU』などについて語っていただきます~

村上虹郎(むらかみ・にじろう)
1997年3月17日生まれ。東京都出身。2014年、主演映画『2つ目の窓』で俳優デビューし、高崎映画祭最優秀新人男優賞を受賞。その後、TVドラマや舞台、CMで活躍。16年に出演した『ディストラクション・ベイビーズ』ではキネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞のほか、2つの新人賞を受賞。公開待機作に『二度めの夏、二度と会えない君』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『Amy said』がある。

『武曲 MUKOKU』
剣道の達人だった父に幼少時から鍛えられ、剣道5段の腕を持つ矢田部研吾(綾野剛)。父をめぐる事件を機に剣を棄て、自堕落な日々を送っていた彼のもう一人の師匠である僧侶・光邑は、研吾を立ち直らせるため、ラップのリリック作りに夢中な高校生・羽田融(村上虹郎)を送り込む。剣道初心者の融は、自身も気づかない剣の恐るべき才能を秘めていた。
2017年6月3日(土)全国ロードショー
(C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
http://mukoku.com/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2017.06.02(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘