いきなり映画主演に抜擢

――その後、沖縄に移住して、高校はカナダに留学されるわけですが、そのときに持っていた将来の目標などは?

 「楽しい人生を送れたらいい」と思っていたぐらいなので、そこから音楽関係の仕事ができればいいなと。でも、自分のなかで、どこか日本から離れたいという気持ちが強かったのはあります。両親が多彩な才能の持ち主であることから、いろんなものが身近にあふれていたと思うんです。言うなれば、目の前に歌手や役者だけじゃない、いろんなレールが敷かれている状態だったんです。でも、それは僕にとって決して有り難いものではないような気がしていたんですね。

――そして2014年、映画『2つ目の窓』の主演にいきなり抜擢されるわけですが、当初お父さん以外の周囲の方は出演されることを反対されていたそうですね。それでも俳優をやってみたいと思った理由は?

 初めて自発的に他人と違うことがやりたいと思ったからです。映画は人並み程度しか観ていませんでしたし、結果的に両親がやってきたカルチャーに近いものになってしまいましたけれど。『2つ目の窓』の初号試写を観たときに、自分を観て悔しかったんです。それで、役者をもうちょっと続けてみようと思いました。ドツボにハマりました(笑)。

2017.06.02(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘