◆仁科三湖エリア・木崎湖畔
五十嵐靖晃「雲結い(くもゆい)」

湖から天に向かう組紐は、人と人とのつながりを感じさせる。

 「信濃大町に来たときに感じたのは、空の存在でした。気付いたら、空を見上げていた」と、五十嵐靖晃は言う。そして彼はこの木崎湖の風景を、垂直方向に切り取る表現を選んだ。

 作品タイトルは「雲結い(くもゆい)」だ。この場所で、天に向かって組紐を組み上げていく。この作品には多くの糸を必要とするが、制作過程では地元の人たちとの協働が欠かせない。

 あるとき、公民館で作業をしていると「糸巻き機なら、うちにあるよ」と地元の人に声をかけられ、それを使わせてもらうことに。そうやって地元の人たちとのかかわりが増え、つながり、ひとつの作品が完成した。

作品の舞台となるのがこちらの桟橋。
糸巻き機を片手に、地元の人たちとの協働の様子を語ってくれた。

◆仁科三湖エリア・木崎湖畔
アルフレド&イザベル・アキリザン
「ウォーターフィールド(存在と不在)」

 芸術祭開催中は、木崎湖にこんなボートが浮かんでいるのを見ることができる。

作品は湖の上に浮かべられる。

 フィリピン生まれのアルフレド&イザベル・アキリザンは夫婦で活動する作家だ。身近な素材を集めて、はっとさせられる意図と、思いもよらない構成で作品を創り上げる。信濃大町では、空き家から不用となった日用品も利用した。

左:下駄の存在感が楽しい。
右:カゴに刺さっているのはフォーク。
左:だるまの表情がいい。
右:ゾウの鼻の先には……。

2017.05.28(日)
文・撮影=CREA WEB編集室