通りすがり絵

なかむらるみ

今やファッションもカルチャーもガラパゴス化してますが、人間のタイプは地域によって属性が分かれるようです。そこで『おじさん図鑑』で計り知れない観察眼を披露したなかむらるみさんが、通りすがって思わず二度見した人達を観察&採取。果たしてどんな人種が!?(不定期更新)

※ 連載中は最新の3話を公開しています。

 先日、地下鉄のホームでのろのろと歩いている人がいて、その人が白いパンツ(ズボン)をはいていたのでつい、「白いパンツのくせに遅いなあ」と思ってしまった。デニムやチノパンでは思わないので、白いパンツには何かを感じさせる特別感があると思う。実際にはどんな人がはいているのか、観察してみた。イメージだと、青山とか銀座とかおしゃれな街にしかいないと思っていたら、意外と白いパンツ人口は多いのでおどろいた。20人中1人くらいの割合かもしれない。青山や銀座などの繁華街はもちろん、競馬場などのファッションに興味がなさそうな感じの場所にもけっこういるのだ。と言っても、そちらのほうは、やや生成りがかってダボダボしているけど。そういう白いパンツは、おじさん方にはけっこう浸透している。

 生成りダボパンは、ちょっと置いておいて、今回はもっと細身の、漂白剤につけたような白いパンツに注目した。はいているのは、30~40代男性。ひと昔前までは、芸能人や雑誌の中にしかいなかった、短めの丈の白いパンツに、素足にモカシン、みたいな人も普通にいる。高嶺の花だった白いパンツが、巷におりてきた印象だ。だからと言って誰でもはけるわけではなく、どことなく、地位も名誉もそこそこあるような人がはきこなしている。何かを感じさせるなら、それは「自信」だ。おじさんのダボ白パンほどではないが、普通の太さと丈の白いパンツの人もいたけど、みなぎる自信は感じられなかった。白いパンツというのは、細く短くなればなるほど、自信も大きくなり、社会的地位があがっていくような気がする。

 わたしも実はもっているのだ。生成りのダボッとしたやつで、どちらかと言うとおじさんよりのダボ白パンツだが、なんとなく、はくと緊張する。「わたし今日、白いパンツだし!」といちいち思ってしまう。ただ一日はいて、裾をみると汚い。どこで擦ったのか記憶にない黒い汚れがあっちこっちにあるではないか。あ~毎回洗うのかと思うと面倒になってきてしまった。もしかして、イケイケの白いパンツの人は、毎回漂白しているのだろうか。
いやクリーニングか。白いパンツの人の特徴として「マメ」の要素も付け足したい。

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なかむらるみ 近況

3月に出産し、ただ今産休中です。最近はアマゾンプライム・ビデオでやっている「バチェラー・ジャパン」にハマってます。育児の合間の世俗的な世界は大事ですね。

プロフィール

1980年東京都新宿区生まれ。イラストレーター。武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒。雑誌、書籍などを中心に様々なイラストを描いている。「CREA」「ビッグコミックオリジナル」「翼の王国」などで連載中。著書に『おじさん図鑑』(小学館)、『おじさん追跡日記』(文藝春秋)。好きなものは、コーヒーとリュック。

ホームページ:「TSUMAMU」 http://www.tsumamu.net

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