豆腐入りやイカのロジャにも注目しよう

 さて、果物のロジャは、正式には「ロジャ・ブアブアハン/Rojak Buah Buahan」といい、果物以外にもロジャはあります。厚揚げや海老天などが入ったロジャ(パッセンボー/Pasemburともいう。ペナン島の名物)、干しイカ入りのロジャ(ロジャ・ソトン/Rojak Sotongともいう。ジョホール州の名物)など。

ペナン島の海沿いの屋台村にあるパッセンボーのコーナー。揚げ物系の具材に、細切りのキュウリとセンクアンをのせてソースをかける。おやつというよりも、おつまみやサラダのような味。
パッセンボーのソースは、酸味のある唐辛子ソースでさっぱりした味つけ。
ジョホール州で食べたロジャ・ソトン。うすくのした干しイカを胡麻入りの甘辛ソースで食べる。ビールのおつまみにぴったり!

 もともとロジャという言葉は、“ミックスされた、混在した、ぐちゃぐちゃな”という意味をもっています。たとえば、多民族国家マレーシアの文化や国自体を“ロジャ”とよび、英語やマレーシア語を混ぜて話したり、ある単語だけを中国語で表現したりするような会話を「バハサ・ロジャ/bahasa rojak」“ロジャな言葉=ごちゃまぜな言葉”と表現したりします。

マラッカで食べたロジャ。グアバやパイナップルが美しく整列していて、その上にカリカリに揚げたせんべいのようなものがのっていた。(写真提供:伊能すみ子さん)

 つまり、いろんな食材や味覚が混じりあったロジャは、マレーシアの文化そのもの。ミックスすることで、ひとつとして同じ味にならないロジャ。だからこそ奥深く、また食べたくなるのです。

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2017.05.01(月)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)