BLマンガ基礎講座

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怪談になっても当然萌えるBLマンガ
四宮しの『てのひら怪談』

【BLは怪談になっても当然萌える。】

 夏に限らず怪談話は、昔から庶民の大好物ジャンルです。マンガ雑誌もその例外ではなく、コンビニの棚で『呪いの怪談○○特集』『本当に怖い△△怪談』みたいな誌名をよく見かけます。怪談のよさは確実に自分の安全が保証された状態で、もしかしたらこの災厄が今にも自分にも降り掛かるかもしれない“恐怖”……この恐怖という感覚を身をもって、しかもお手軽に味わえることです。ぞっとする、寒気がする、背筋が凍る、みたいな怖い体験は立派なエンターテインメント。怪異や不思議が好きなかたは、怪談BLマンガから手に取ってみてはいかがでしょうか?

君がいることが僕の幸せ
てのひら幽霊の優しい秘密

 四宮しのさんの『てのひら怪談』は、ポエティックかつ繊細なタッチで、不可思議で残酷な怪異を綴った読み応えのある作品です。

 “僕”こと日下は、友人の“数馬”こと平片数馬と一緒に川で溺れて以来、白い手だけの幽霊が見える。今朝起きると、てのひらはピースサインだけを残して消えてしまった。“ピース”には何か意味があるのか? しかもスウの両手は川で溺れた際のひどいケガが治らず、ずっと包帯をしたままだ。先生に遅刻理由を話すと怒られた。しかもおかしい、この学校には僕と先生とスウともう1人、ソバカスの男の子しかいないみたいだ。そしてスウは「ふくしゅうをするとしたらどんな方法を選ぶ?」と僕に質問してきた……謎が謎を呼び、ついに目を醒ました日下は意外なスウの真実にたどり着く。

 この物語には6つの怪異が描かれ、日下とスウの相互の視点で解き明かされる。2人の淡い思いが少しずつ熟成していく過程が美しい。初恋っていいですね。

『てのひら怪談』(全1巻) 四宮しの

「恐ろしいのは幽霊ではない。僕だ」。日下に特別な感情を持っていると気づいた平片数馬。ある日この世のものではない存在に、ピアノの才能と引き換えに大事な日下の命を助けると言われる。引き寄せ体質の日下と幽霊が見える数馬の初恋物語。
幻冬舎 630円
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福田里香(ふくだりか)
お菓子研究家。CREAで「R先生のおやつ」も連載中。『まんがキッチン おかわり』(太田出版)と文庫版『まんがキッチン』(文春文庫)が好評発売中。

<この記事の掲載号>

CREA 2017年5月号

最近、眠れてる? 
the guide to a good sleep

定価780円

2017.05.04(木)

文=福田里香

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