クライマックスまで
あと3ステップ楽しめるなんて!

 牛さがりカツ(1,300円)が運ばれてきた。サクッと上がったカツは和のような洋のような。実にいい塩梅。

 「器楽亭に行くとさ、次は何が出てくるんだろうって、いつもわくわくするんだよね」というのは隣にいる連れ。大いに納得だ。

ハラミの上位部分であるサガリ。とんかつとはまた違ったおいしさ。

 鶏肉のお代りのあとは、鍋には欠かせないつくねの登場。鍋奉行がほどよい大きさに団子をつくって鍋に投入していく。4分ほどでできあがりだ。極上スープを吸っておいしくなったところをいただく。

生姜を利かせたつくねは、ふんわりとやさしい。あっという間に胃袋に収まっていく。

 そして再びのおつまみタイム。忘れちゃいけないのがこちらの冷奴っこ(600円)。塩だけでもいいが、生姜と出汁醤油で食べるのが私は好き。クリーミーな舌触りと甘みが格別。そんじょそこらの冷奴っことは別物なのだ。

鍋の合間に口のなかをひんやりさせるのにもぴったり。グラニテ気分で召し上がれ。

 鍋は続くよどこまでも。次は野菜の出番。キャベツ、九条ネギ、マロニー、えのき、お麩、豆腐と盛りだくさん。さあ、うまいスープのなかでもっとおいしくなって、私たちのもとへ帰っておいで。

やっぱりお鍋には「マロニーちゃん」が欠かせない。

 野菜をさらったあとは、エキスが詰まった最高の状態のスープができあがる。〆はラーメンといきましょう。香港麺のような細麺は、スープをぐんぐん吸収。うまくならずにいられない状態。「もうお腹いっぱい」なんて発しているそばから食べてしまう。

 お腹に余裕があれば、このあとごはんを投入して雑炊にするのもいい。極上スープを一滴残すことなくいただくのだ。

黒胡椒をちょっとのせて。これがまたたまらない!

「ごちそうさまでした。また来ます」

 ポカポカと全身が温まったところで、田町駅へと向かう。

 なぜだろう、帰り路はちっとも寂しくない。行きよりも夜は更けているはずなのに、寂しくない。東京モノレールもなんだか楽しげに見える。

 そうか、これがうまいものの力なのだな。

水炊き 鼓次郎(みずたきこじろう)
所在地 東京都港区芝浦1-14-17
電話番号 03-6435-4840
営業時間 17:00~22:00(L.O.) ※23:00閉店
定休日 日曜
予算 夜 6000円~
[2017年3月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2017.04.03(月)
文・撮影=Keiko Spice