“おばあちゃんの家”に来たかのようなリラックス感

「高野山の梅にゅうめんと三つ葉、ゆずのかやくご飯」1,200円。

 それにしても、古民家の包容力は偉大。お座敷で縁側の方に向いて座れば、ガラス越しに中庭の植物の気配が感じられ、初訪問なのに“おばあちゃんの家”に来たかのようなリラックス感に包まれます。

 すぐに帰るのは物足りない……という気分になったなら、甘味の前にワンクッション挟んではいかがでしょうか。

 「高野山の梅にゅうめんと三つ葉、ゆずのかやくご飯」は、ひきたてのお出汁の香りに癒される軽食セット。紀州南高梅ととろろ昆布をのせた煮麺のお出汁は、飲み干したくなる美味しさです。三つ葉と柚子の香りを添えたかやくご飯も、派手なところはひとつもありませんが、日本人の味覚の琴線に触れるキラーコンテンツと言えましょう。

「抹茶白玉ぜんざい」900円。お抹茶は宇治の濃茶用で点てたもの。白玉は毎朝手作りされています。

 食後におすすめの甘味は「抹茶白玉ぜんざい」。ほろ苦い抹茶の中に甘い小豆と手作りの白玉を落としたおぜんざいは、すっきりした甘さと、白玉のもちもち感が魅力的。これだけを目指して来る価値もある逸品です。

 ちなみに2階のお稽古場では、書道、茶道、華道はもちろん、金継ぎ、蒔絵、三味線、篆刻、煎茶、日本刺繍、和裁、もっとマニアックな路線では一筆画や風鈴絵付け、扇面絵付けなども学べます。お稽古の帰りに楽しむ甘味は、またひときわ美味しく感じられそうですね。

小苦樂(こくら)
所在地 東京都新宿区下落合3-21-5
電話番号 03-6883-8623
営業時間 11:30~18:30(L.O.)
定休日 月曜(ほか不定休あり)
http://www.kokura-bluecampjapan.com/

小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。

Column

小松めぐみの和菓子で和む、ほっこり時間

落ち着いた和の空間で和菓子をいただき、ほっこり和む、幸せな時間。仕事の合間や散歩の途中に、自分の時間を取り戻せる甘味屋さんをご紹介します。

2017.04.03(月)
文・撮影=小松めぐみ