暮らすように旅するのが好き

 10日間の休暇を取り、初めてキューバに行って来ました。いやあ、さすがに遠かった……。

 以前は、夫と毎年この時期に三週間ほど海外に行くのが恒例だったのですが、三拠点生活をスタートしてからは、その移動で手一杯。さらに夫がメディア関係のレギュラーをいくつか持ち、長い休暇が取りにくくなっていたので、久しぶりの夫婦での海外旅行となりました。

 キューバを選んだのは、映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」とキューバ音楽が大好きな夫。2015年、54年ぶりにアメリカと国交正常化したキューバはきっと今後、急速に近代化していくだろうから、その前に映画と同じ空気感を味わいたいと言うことでした。

 カナダ経由で合計15時間半かかり、ハバナへ到着しました。初日は夜に到着、最終日は早朝出発なので、実質は7日間の滞在です。

 私たちの旅のスタイルは、名所旧跡などを目一杯まわったり、ショッピングをしたりというより、暮らすように旅するのが好き。だから今回も滞在はハバナだけにしました。

スペイン コロニアル様式の建物がずらりと並びます。

 泊まったのは、Airbnbを通して借りた家。2010年に個人事業として民泊(外国人観光客向けの宿泊施設)が認められたのだけれど、認可を得るのが結構大変らしく、だからそのぶん、クオリティは高いと聞いていたので。

 実際、とても快適な家でした。隅々まで清潔で、お湯もちゃんと出るし、タオルやシーツの交換や掃除などホテル並みのサービス、さらに朝食付き。

 古い街並みが残っている旧市街の端の方にあるので静かな環境だけど、すぐ近くにはプラザビエハという大きな広場があり、人気カフェやレストランが並んでいます。

 さて、キューバの印象ですが、とにかくレトロでカラフル。

どこもかしこも配色がきれいで心踊ります。

 スペインの植民地時代に建てられた、装飾が美しい建物が数多く残っていて、壁の色がとてもきれいなのです。少しパステル調のピンク・ブルー・イエローそしてミントグリーンなど。どの建物も近くで見るとかなり老朽化がすすんでいますが、青空の下で見ると本当に美しいです。

 また、アメリカ支配下にあった1940~50年代の車がいまでも大量に現役で走っています。最初の頃は「わ、かわいい!」と車の写真をたくさん撮っていましたが、数台に一台はクラッシックカーという状態で、これが当たり前の日常なのです。

こんなにカラフルな昔のアメリカ車がそこらじゅう走っています。

 しかし、このパステルカラーがあふれる街にキュートな丸っこい車が走る風景は、「まるで自分が描く絵みたいだなあ」と思いました。こんな場所が街全体に残っているなんて信じられない気持ちです。

2017.02.25(土)
文・撮影=松尾たいこ