男性用コスメは気味が悪い?

左から:ベアプロ パウダー ファンデーション SPF15・PA++ ウォーム ライト07 10g 全10色 4,200円、コア カバレッジ ブラシ 3,500円、ジェン ヌード マット リキッド リップカラー Cult、Infamous 4mL 全12色 2,800円/ベアミネラル(2017/3/8発売)

 ずいぶん昔から、メンズ用化粧品は存在した。スキンケアはもちろん、メイクアップもちゃんと存在したのだ。しかし成功例はおそらく一つもないのではないか。単純に時期尚早だったとの見方もあるけれど、でもひょっとすると“男性用”というカテゴリー自体に無理があったのではないか。

 例えば車も、思い切り女性向けに作られた“女性仕様”はあんまり受けない。なんでもかんでもピンクにすればいいってものではないと女はちょっと腹を立てたりする。化粧品にも、男性用の気味悪さがあるということなのだ。もちろん、男性用として設計されていないと不都合が起きることもあるけれど、そもそもがキレイになりたい気持ちに男女の別はない。ましてや今、男と女の境界線に大きな異変が起きている。ご存じのように、ジェンダーフリーな男たちがみるみる増えているのだ。

コンチータ・ヴルスト 1988年生まれ。オーストリア出身のドラァグクイーン歌手。ユーロビジョン・ソング・コンテスト2014に国の代表として出場し、優勝。

 例えば、ヨーロッパでナンバーワンの歌唱力を誇る歌手コンチータ・ヴルストは、ドレスにばっちりメイク、ヒゲもボーボーという、見事に両性具有なスタイルで、世界的に注目を浴びている。このジェンダーミックスをとても美しいと絶賛する声も次第に高まっているのだ。

 一方で“りゅうちぇる”のように、ノーマルなのに、気持ちは女子。ともかく“カワイイ”と言われたい男子も、増えている。そう、男たちの間でも「カワイイ」と言われることが、にわかに大きな価値を持ってきているのだ。ちなみに30代後半から40代をターゲットにした男性誌のテーマも、“「カワイイ」と言われること”なんだって。日本の女が、美しいものも、カッコいいものも、変なものさえ、すべてを「カワイイ!」と表現していることが、男たちにも伝染してきたのだろう。

 勢い、純粋に「美容大好き」と言う男子も、決して珍しくはなくなった。美容をしてキレイになることに罪悪感が全くない。こういう彼らは、わざわざ男性用をススメられることにむしろイラッとする。何の抵抗もなく女子と同じ様な美容をする時代になったのだ。

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2017.02.26(日)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫
写真=文藝春秋

CREA 2017年3月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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