【次に流行るもう一曲】
あさみ ちゆき
「出さない手紙を書いてます」

フォークソングと歌謡曲のミクスチャー

伊藤 もう一曲はやはり2017年2月22日リリースのあさみ ちゆきの15周年記念シングルCD「出さない手紙を書いてます」です。彼女の音楽は、フォークソングと歌謡曲のミクスチャーですね。亡くなる前の阿久悠氏がシンガーあさみ ちゆきを可愛がっていたというのは有名な話で、阿久さんが作詞の作品も多く発表しています。

山口 まったく知りませんでした。それにしてもすごい選曲ですね。最初に聞いた時に驚きました。資料を間違えたかと思いましたよ、伊藤涼、芸風広げすぎです(笑)。

伊藤 実は長野に住んでいる近しい親戚があさみ ちゆきのことをすごく応援していて、地元で後援会的なことまでやっているんです。長野に遊びに行っているときに、あさみ ちゆきがコンサートで来るっていうんでプロモーションをすこし手伝ったこともあります(笑)。そんなこともあって随分とまえから彼女のことは知っていました。友達のクリエイターとコーライトして楽曲をプレゼンしたこともあります。彼女の作品は“作曲家先生”によるものばかりですからね、残念ながら僕らの曲は採用にはなりませんでしたけど。

山口 なるほど、そういう経緯があるんですね。音楽ジャンルで言うと、叙情派フォークソングと演歌の中間点とでも言いましょうか、昭和感満載です。ただ、こういう楽曲は歌詞が大事だから、作詞家の力は問われるでしょうね。

伊藤 そうですね。10年に一度くらいですが、Jポップとは違う毛色の楽曲がヒットすることがあるじゃないですか。「千の風になって」とか「Jupiter」とか。もし、あさみ ちゆきがNHKの紅白歌合戦に出るなんてことになったら、その親戚はすごく喜ぶと思うし、ぜひ素晴らしい曲に出会ってほしいですね。

あさみ ちゆき「出さない手紙を書いてます」
テイチクエンタテインメント 2017年2月22日発売
1,204円(税抜)
■あさみ ちゆきは、2001年から井の頭公園でストリートライブを開始。レコード会社にスカウトを受け、2003年に「紙ふうせん」でメジャーデビューを果たす。現在も月1回のペースで、井の頭公園でのストリートライブを継続し、そのたびに300人以上のファンを集めている。2015年には男児を出産し、1児の母となった。
■「出さない手紙を書いてます」作詞/喜多條忠 作曲/岡千秋 編曲/石倉重信
http://www.chiyuki.jp/

山口哲一 (やまぐち のりかず)
(株)バグ・コーポレーション代表取締役、コンテンツビジネス・エバンジェリスト、音楽プロデューサー。「デジタルコンテンツ白書」(経済産業省監修)編集委員。経済産業省「コンテンツ産業長期ビジョン検討委員会」委員。国際基督教大(ICU)高校卒。早稲田大学在学中から音楽のプロデュースに関わり、中退。1989年、バグ・コーポレーションを設立。音楽プロデューサーとしてSION、村上“ポンタ”秀一のマネージメントや、東京エスムジカ、ピストルバルブ、Sweet Vacationなどの個性的なアーティストをプロデュースする一方、音楽ビジネスとITに関する実践的な研究を行っている。プロデュースのテーマは、新しいテクノロジーの活用、グローバル展開、異業種コラボレーション。2011年頃から著作活動を始め、国内外の音楽ビジネス状況の知見を活かし、音楽(コンテンツ)とITに関する提言を続けている。エンタメ系スタートアップを対象としたアワード「START ME UP AWARDS」をオーガナイズし、プロ作曲家育成「山口ゼミ」や「ニューミドルマン養成講座」を主宰するなど、次世代の育成にも精力的に取り組む、異業種横断型のプロデューサー。近著に『新時代ミュージックビジネス最終講義』(リットーミュージック)、『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す。』(ローソンHMV)、『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック・伊藤涼との共著)、『とびきり愛される女性になる。 恋愛ソングから学ぶ魔法のフレーズ』(ローソンHMV・伊藤涼との共著/「ラブソングラボ」名義)、『DAWで曲を作る時にプロが実際に行なっていること』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家 起業という選択』(スペースシャワーブックス)、『プロ直伝! 職業作曲家への道』(リットーミュージック)などがある。
Twitter https://twitter.com/yamabug
BLOG http://yamabug.blogspot.jp/
詳細プロフィール http://yamabug.blogspot.jp/2010/05/profile.html

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。「青春アミーゴ」などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46「走れ!Bicycle」、AKB48「ここにいたこと」などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。著書に『作詞力 ウケル・イケテル・カシカケル』(リットーミュージック)、山口哲一との共著に『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック)がある。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室「リリック・ラボ」 
https://www.facebook.com/lyric.laboratory/
L.A.↔TOKYO の音楽を繋ぐクリエイターチーム「LATKO.」 
http://latkojp.com/

Column

来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

2017.02.14(火)
文=山口哲一、伊藤涼