『君の名は。』は音楽と映像が有機的にマッチ

山口 今回の『君の名は。』は監督が、RADWIMPSの曲に合わせて作ったと言われるくらい、音楽と映像が有機的にマッチしています。最近はユーザーの耳も肥えているので、政治的な力で強引に結びつけたようなタイアップは、効果が上がらず空振りすることが多いです。『君の名は。』×RADWIMPSは、結びつき方も素晴らしいです。今回のことでRADWIMPSは、2000年~2010年代の時代の気分を代表するバンドになって、長く続くブランドになったと思います。映画も歴史に残るような素晴らしいアニメです。

伊藤  実は映画をまだ見ていないんですよ。だから、こんなこと言っちゃいけないけど、北米でヒットするなんてまだ信じていません。

山口 えー!! 観ないとダメですよ。良い作品ですし、あの映画が支持されている理由が肌感覚でわからないと、ヒットプロデューサーとして問題ありです。

伊藤 すぐに観ます(笑)。ぜひアカデミー賞とグラミー賞のダブル受賞で日本のエンタメ文化を盛り上げてほしいです!

山口 アニメ界のアカデミー賞であるアニー賞では、候補になりましたが、惜しくも受賞は逃しましたね。

 さて、今回はどんな妄想分析ですか?

伊藤 僕はただ立ち尽くして目の前の風景を観ている。ただ頬には冷たい風を感じ、それが耳元で囁く。これは偽物でもなければ空想でもない。君はたったいま硬いスチームの塊に激しく叩かれ、生命という音を失おうとしている。酷く壊れてしまった君のほとんど、だけど温もりだけは残されているのは分かる。まだ止まることのない血のせいだろう。さっきまでつながれていた手だけは奇麗なままこっちを向いている。それに手を伸ばしたいと思うが、身体が動かない。君の名を叫びたいと思うが、声が湧いてこない。雑踏みたいなどうでもいいものだけが、頭の中に生きている。唯一、いま自分でできること。それは現実から逃げるように目を閉じること。そして目を閉じた瞬間、君は僕の名を呼び微笑みかける。

山口 アニメの世界観と寄り添っています。早く観てくださいね。できるだけ大画面で。

RADWIMPS「君の名は。English edition」
EMI Records/ユニバーサル ミュージック 2017年2月22日発売
1,300円(税抜)
■RADWIMPSは、2001年結成、2005年にメジャーデビューを果たす。2016年夏から公開が続く大ヒット映画『君の名は。』の音楽を手がけ、同年末にはNHK紅白歌合戦にも初出場。ヴォーカル&ギターの野田洋次郎は、エッセイ集『ラリルレ論』の刊行、映画『トイレのピエタ』での主演など、幅広く活躍する。
■「Zenzenzense(English ver.)」作詞・作曲/野田洋次郎 編曲/RADWIMPS
http://radwimps.jp/

【動画サイト】
「Zenzenzense(English ver.)」

https://www.youtube.com/watch?v=3qeAZLyBNQI

2017.02.14(火)
文=山口哲一、伊藤涼