全粒粉生地、フランスパン生地のパンも

 全粒粉生地を使った、ハード系のパンも自慢です。

全粒粉生地のパンいろいろ。左上から時計まわりに「クルミといちじくのエピ」205円、「ノワレザン」小173円、「クランベリー」173円、「バゲット・ラボンダンス」281円。

 「バゲット・ラボンダンス」は、店名にちなんだ羊の角の形。自家製液体天然酵母を使用して長時間発酵しています。まわりはカリッ、中はふんわり。食べるともっちりしていて日本人好み。「バタールよりも薄めにカットして、どうぞ」と田中さん。同じ生地の「ノワレザン」「クルミといちじくのエピ」も、味わい深い。

 フランスパン生地の「いわし君」は、中にアンチョビが4個詰まっていて、ワインにもぴったり。同じくフランスパン生地の「チーズ・フランス」「ベーコンエピ」「グリーンオリーブのフーガス」など、どれも、さっくり、もっちり。

「いわし君」205円。

 お店で食事パンと呼んでいるのが、カボチャを練り込んだ「かぼちゃパン」やマッシュポテトを加えた「ポテトパン」と、「くるみパン」「塩味」など。洋風の家庭料理にも合う、食べやすいパンです。

食事パンいろいろ。左上から時計まわりに「ポテトパン」173円、「塩味」130円、「くるみパン」113円、「かぼちゃパン」173円。

 「どのパンも、口溶けの良さを大切にしています。食べた時、モゴモゴ、パサパサせず、後に残らないパンがいい」。ハード系のパンは、表面はカリッ、中はふんわり。扱いにくい水分量の多い生地をしっかり焼き込んで、口溶けを良くしています。菓子パンも、柔らかくて歯切れと香りが良く、口溶けにもこだわった独自の生地にしました。

 「現状に満足せず、常に高みを目指してパン作りをしていきたい。もっともっと、おいしいパンを作り出したいんです」と田中さんは微笑みます。

左:一年中作る「ガレット・デ・ロワ」3,240円。ホールは要予約。土・日曜、祝日にはカット販売あり。1カット 405円。
右:バタールで作る「パンペルデュ」173円。

 田中さんは、焼き菓子も得意。近年、1月のお菓子として日本でも知られるようになった「ガレット・デ・ロワ」を1年を通して注文で焼いています。元々は、フランスで1月6日の公現節に食べられる伝統菓子で、中に小さな陶器の人形を忍ばせます。切り分けた中にフェーブが入っていた人は、王冠をかぶって皆の祝福を受けます。

 「誕生日などのお祝い事に使いたいという要望があって、一年中作って冷凍で発送しています」。中のアーモンドクリームにあんこを混ぜた上品な甘さとしっとりした口当たりが人気の秘密のよう。

 同じくパイ生地を使ったコンポートのリンゴ入りの「ショーソン・オ・ポム」の他、「パンペルデュ」、多彩なラスクもティータイムにぴったり。

 「おいしいバターロールを作りたいなあ。ベーグルも出したいなあ……」と田中さん。

 おやつパンや焼き菓子を買いに行きたい、地域密着型の小さなパン屋さんです。

※価格はすべて税込み

ブランジュリー・ラボンダンス
所在地 兵庫県川辺郡猪名川町伏見台1-1-71
電話番号 072-767-3379
https://www.labondance.jp/

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2017.01.22(日)
文・撮影=そおだよおこ