おいしい個性派、増えてます

扉温泉 明神館「信州ダイニングTOBIRA」の和朝食。地元の旬の食材を取り入れ、伝統食の魅力を楽しませてくれる。

 今どきの人気温泉宿では、夕食がおいしいのはもはや当たり前。ゲストの心を摑むことに秀でた宿は、そろそろ朝食に力を入れ始めているようです。普段は朝食を抜く人でも、なぜか楽しみになるのが旅館の朝食というもの。起き抜けにつくりたての料理を上げ膳据え膳してもらえる朝食は、旅館ならではの贅沢な体験といえるでしょう。

 例えば和食なら、ごはんとお味噌汁、玉子焼、焼き魚。ひとり旅におすすめなのは、そんなシンプルな品に料理人が本気で向き合う朝食。炊きたての土鍋ごはんを食べれば味の違いに気付かされるし、真似したくなる野菜料理に出合えば嬉しい気持ちになります。基本的な献立だからこそ、そしてひとりで朝食に向き合うからこそ、吟味された食材のよさや、最高の状態で出されるサービスの価値に敏感になれるわけです。

 素敵な朝食を食べながら段々と体が目覚めていき、少なくともチェックアウトまではゆっくりとした時間が続いていく幸せは、旅先ならでは。またここに泊まりたいと思わせるのは、実は滞在のフィナーレを飾る朝食の思い出なのではないでしょうか。

2017.01.12(木)
文=小松めぐみ

CREA 2017年2月号
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この記事の掲載号

楽しいひとり温泉。

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