漢方料理も見逃せない!

 スープだけでなく、こんな漢方料理も人気! 今では家でも作ってしまうほど大好物なのが、この鶏の漢方蒸し。

当帰、淮山、ナツメ、椎茸、クコの実などと一緒に鶏肉をホイル蒸しに。仕上げに紹興酒で香りづけ。調味料は塩のみで、椎茸、鶏のうま味が凝縮されている。

 まるで根っこ? のような数種の漢方が入った漢方ティーもポピュラー。砂糖の甘い汁に漢方の苦みがほのかに漂っていて、けっこうハマります。

ブキビンタン地区のバクテー専門店「新峰肉骨茶」の人気ドリンク。当帰、甘草、果物のロンガン入り。

 また、以前このコラムで紹介した「バクテー(肉骨茶)」や黒いジュース「羅漢果ジュース」も漢方を使った料理です。

バクテーは、体の余分な熱を取る玉竹、血液さらさら効果のある当帰など約10種の漢方入り。滋養強壮の効能が期待できる。

 いかがでしたか。アジア料理といえば、唐辛子入りの刺激的な味のイメージかもしれませんが、マレーシアには心と体をゆるりとほどく、やさしい味があります。ごはんを食べながら体をいたわる。私たちがマレーシアごはんに魅せられるのは、こんな食文化にも理由があるのです。

中国系民族が多く暮らすマレーシアには、ふだんの食事に漢方を取り入れ、体調をケアする食文化があります。そのなかでおなじみの料理が、肉と野菜を一緒に煮こんだ「漢方スープ」。漢方独特の香りや苦みはほとんどなく、とても食べやすいので、老若男女問わず人気です。今回レポートするのは、クアラルンプールのショッピングモール「パビリオン」のフードコート内にある専門店。「マレーシアごはんの会」事務局のやかべっちが「銀杏とホタテ」のスープに初挑戦! (動画提供:やかべっち)。

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2017.01.18(水)
文・撮影=古川 音