カナダ最大のスパークリングワインセラー

「トゥリウス・ワイナリー」のレストランとブドウ畑。ブドウ畑はシーズンオフだったので緑ではないけれど。

 近年、カナダのワイン産業は急成長していて、オンタリオ州では、2000年に133軒だったワイナリーが、2016年には200軒を超えた。トロント市とオンタリオ湖を挟んで対岸にあるナイアガラ半島は、オンタリオ州の主要なワイン産地のひとつとなっている。あの、ナイアガラの滝がある場所だ。

 ナイアガラ半島は、ヨーロッパの冷涼なワイン産地と同じ北緯30~50度の範囲に位置しているため、気候がワイン造りに適している。高級ワインが多く、なかでも特に高価なカナダ産アイスワインの90%以上がこのエリアで造られているのだ。

 「トゥリウス・ワイナリー」のワインメーカー、クレイグ・マクドナルドさんはオーストラリア出身。ワイン産地を探して、今までに、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、そしてカナダを巡り、ナイアガラ半島に出会ったという。「ここは、世界のワイン産地の中でもっとも魅力的な場所なのです」という。オンタリオ州の「ワインメーカーズ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたこともある。

「トゥリウス・ワイナリー」の樽の中で眠っている大量のワインたち。

 「トゥリウス・ワイナリー」は、カナダでもっとも大きなスパークリングワインのセラーを持つワイナリー。数十万本が静かに眠っている。

 スパークリングだけではない。カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、メルローをブレンドした「トゥリウス」は、1989年から造り続けているロングセラー。ほかにも、ソーヴィニヨンブラン、リースリング、ピノノワールなどを使ったワインを造っている。アイスワインに関しては1983年に造り始めた草分けだ。

左:カナダでもっとも規模が大きいというスパークリングワインのセラー。50万ボトル貯蔵できるという。壁がボトルで埋め尽くされている。
右:無数のスパークリングワインのボトルの前でテイスティング。照明に色がついているのでワインの色はわかりづらいけれど、フルーティなシャルドネだ。

 セラーを見学した後は敷地内のレストランでランチ。レストランはワイン畑を眺めることができる場所にあり、料理とのワインペアリングも楽しむことができる。2006年から働いているシェフのフランク・ドッドさんは、オンタリオの大学を卒業した後、イギリスやカナダのホテルで腕を磨いてきた。料理教室が催されることもあるという。

天井が高くて開放感たっぷりのレストランには大きな窓があり、ブドウ畑を一望することができる。

 この日のブドウ畑は緑もなく、窓の外は寒そうな景色ではあったが、ワインに合わせたランチは、ワイナリーのレストランならでは。そして、ランチでワインをいただくのはワイン取材ならでは(笑)。美味しいワインペアリングを堪能できた。

左:ランチの最初にいただいたのは「ゴースト・グリーク」と名づけられた白ワイン。2014年のリースリングだ。
右:鶏肉のグリル、アーティチョークとポテト、ナイアガラの季節野菜、スモークベーコン、リンゴを添えて、サルタナドレッシングとともに。

Trius Winery(トゥリウス・ワイナリー)
所在地 1249 Niagara Stone Road, Niagara-on-the-Lake, Ontario L0S 1J0
電話番号 905-468-7123
http://www.triuswines.com/

2016.12.09(金)
文・撮影=たかせ藍沙