今回は、陶器作品だけでなく
私の絵も一緒に飾りました

いつも支えてくれているスタッフやお世話になっている陶芸家の日向豊さん(左下)も福井から来てくれました。

 会期中は私も何度か在廊。来てくださった方にはなるべく声をかけ、作品について話をさせていただきました。

 ただ、接客に慣れていないため、ゆっくり観ている方に声をかけていいのか悩むシーンも多々あり、うまくできなかったかも。ごめんなさい。

 お客様は、思い思いにこの空間を味わってくださっていたようです。ほとんどの方が作品を観ながら笑顔いっぱいだったのが、とても嬉しかったです。

 シルクスクリーン陶画に添えられた物語では「思わず泣きました」という方も何人かいらっしゃいましたが。

 夫、ジャーナリストの佐々木俊尚が私の作品一つ一つのために書いてくれた、やさしくてちょっとさみしいけれど希望にあふれる物語です。

 そしてお気に入りの作品を購入してくださる方達から「この子をうちの子にします」「机の上に置いて和ませてもらいます」「目が合っちゃったから連れて帰ります」「きっとあの場所に合うと思うの」「来年はラッキーになれそうです」など、買ってもらっただけでも嬉しいのに、たくさんの私が幸せになる言葉をもらいました。

 自分に似てるからと、だるまさんを買ってくださった方もいます。ご夫婦でしゃがみこんでそれぞれのお気に入りをじっくり選んでいる姿も目に焼き付いています。

今回の個展に合わせて描き下ろした作品「森の中」。

 今回は、陶器作品だけでなく私の絵も一緒に飾りました。全く違和感なく、むしろ絵があることで陶器作品も引き立ち、美しい空間が生まれた気がします。

 いままで「イラストレーション」と「陶器」は全く別のモノと考えていましたが、同じ私から作り出される作品は、形や表現方法に関係なく、やっぱり全部が私なんだなあと、思えた瞬間でした。

 さて、このギャラリースピークフォー、私の個展を最後に閉廊しました。

 実は、ギャラリーのリニューアルオープン後、最初に個展させていただいたのも私です(2008年9月26日~「松尾たいこ Parallel World ~私の視線~」)。2009年、2010年にも個展開催、グループ展にも何度かお誘いいただきました。思いがけず、最初と最後に個展をやらせていただけたことも、とても感慨深いです。

 いまはやり遂げた感でいっぱいです。

 チャレンジが好きな私ですが、あまりに未知の世界で失敗のほうが何十倍も多くて辛い時期もあったけど、わからないことは周りのプロに聞き、できない部分は福井のスタッフに助けてもらいながら、本当に持っている力を全て出し切りました。

 このプロジェクトのスタートから見守ってくれている友人・知人、何人にも「よくここまでこれたね!」って声をかけてもらいました。

堀潤さんは、福井にアトリエを構える前からプロジェクトの取材をしてくださっています。記事になるのが楽しみだな~。

 さて、まだまだ私のチャレンジは続きます。春までは福井のアトリエはクローズ、東京と軽井沢の二拠点での生活になりますが、すでに頭の中には次に作りたいモノのアイデアもいくつかあるので、じっくり練っていこうと思っています。

 千年陶画プロジェクトのこれからもぜひ見守ってくださいね!

松尾たいこ 公式ブログ
http://ameblo.jp/taiko-closet/
※作品制作や三拠点生活の日々のことなど、ほぼ毎日更新

千年陶画WEB販売サイト
http://www.1000toga.jp/

松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/

Column

松尾たいこの三拠点ミニマルライフ

一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。

2016.11.26(土)
文・撮影=松尾たいこ