コミック原作からTVドラマ化を経て、同キャストで映画化した『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』。

 東京・荒川の河川敷に暮らす、風変わりな人々のコミュニティーを映画オリジナルのストーリーを交えて描いた本作で、主人公・市ノ宮リクを演じている林遣都(はやし・けんと)。デビューから4年、少年から青年に成長した彼の素顔に迫る。

原作ファンを裏切りたくない気持ち

――修学旅行で東京にやってきたときに、今の事務所の方にスカウトされたそうですが、そのとき芸能界に対する興味はあったのですか?

 興味は、まったくなかったですね。映画もそのときの話題作を見る程度でしたし、特に憧れの俳優さんもいませんでしたから。

――その後、俳優デビューにして初主演となった『バッテリー』など、映画の主演が続きますが、俳優を意識するようになった作品は?

 3作目の『DIVE!!』ですね。初めて同世代の同性の俳優仲間と出会った作品で、自分のなかで、ライバル意識みたいなものがわいてきたんです。16、7歳ぐらいで彼らと出会い、彼らを驚かせるためにも、この仕事を頑張っていきたいと思いました。

 今、21歳になっていろんな経験をしてきたぶん、仕事の話もできるようになしました。地元の仲間に話せないことも彼らには話せる、そんな時間が好きですね。

――これまでのキャリアを振り返ってみると、原作モノが多いと思うのですが、そのことについてはどのように思われていますか?

 いちばん最初に、原作ファンの方を裏切りたくないという気持ちが大きいですね。『バッテリー』のときも、『DIVE!!』のときも、原作者の方から「あなたが演じてよかった」と言われたのですが、そう言っていただけることを目指して頑張るだけです。マンガと小説とでは大きく違うと思うのですが、マンガの方が辛いですね。

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2012.01.20(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Mami Yamada
styling:Yonosuke Kikuchi
hair&make-up:Takashi Hida(kind)