色々なお料理を味わいたいという向きは、
「モルドバの盛り合わせ」を

 モルドバでは伝統的に、ギリシャと同じようなフレッシュ系のチーズが造られ、色々な料理に登場します。

 魅力的なグラスワインがたくさんあるので、ワインに合わせてもう一品、料理に合わせてまたワインを……。

リンバ・ソワクレイ(ガーリック風味のマヨネーズとチーズを、焼きナスで巻いたお料理)は茄子とチーズという鉄板の組み合わせを、味わい深く、しかしさっぱりと食べさせてくれる。1,200円。

 このほか、人気の前菜として、タラの肝とカッテージチーズのペーストが野菜やパンと一緒に供されるフィカ・デ・ペッシテ(1,600円)や、茄子とパプリカのロースト、サラタ・デ・ヴィネテ(1,300円)など。

 タラの肝といえば、筆者がフランスで暮らした若い頃、鮟肝の代わりによく食べた懐かしい食材。パプリカといえばスラブ系? 卵黄マヨネーズはラテン系でしょうか?

 脳内の好物世界地図をお供に、気分は世界美味ツアー。どんどんテンションが上がります。

 一人でカウンターに座る女性客、とりあえずモルドバの色々なお料理を味わいたいという向きには、「モルドバの盛り合わせ」(1,500円)もオススメです。本日のおつまみあれこれが少しずつ盛り付けられています。

前菜のアソート。

 普段は、前菜とワインで早々とご機嫌になってしまうことも多いのですが、折角の機会なので、モルドバのメイン料理もいただきたい!

 メインとして是非味わいたいのが、「エレナの思い出」(2,100円)と名付けられた、スペシャルな豚肉料理。

とろける豚肉と蕎麦の実、トマトソースのマリアージュは外せません。

 どうして「思い出」なのでしょう?

 その答えは、トマトソースとともに豚肉にたっぷりと添えられた蕎麦の実にあるようです。

 郷土料理というか、おふくろの味というか、蕎麦の実とトマトソースの組み合わせは、モルドバの日常生活に欠かせないものだそう。蕎麦の実のプチプチの食感と柔らかく煮込まれた豚肉が、寒さに向かうこれからの季節にぴったりです。

2016.11.07(月)
文・撮影=吉岡のの