日本に興味をもつベトナムの若者

 ホーチミン市の中心部である1区や隣接するビンタン区に最近、続々と店舗を増やすカフェがある。店内は地元の若者であふれ、ちょっぴりおしゃれなデートコースとして、カップル率も高い。

抹茶ぜん7万2000ドン。中央のジェラートは抹茶・バニラ・黒ゴマから選べる

 しかし、よくよく見ればテーブルに置かれているのは、抹茶ラテや抹茶パフェ、白玉ぜんざいなどの和スウィーツ。チェーやおこわ、クレープやプリンなど、これまで地元料理や洋風一辺倒だったベトナムのスウィーツ業界だが、日本発の抹茶風味が近年人気急上昇、和スウィーツが新たな風を吹かせている。

看板にも「日本のスウィーツ」と日本語で

「ベトナムの若者は日本のアニメや漫画が大好き。そこから日本という国にとても興味をもっています。それは食に対しても同じで、私たちは寿司・刺身だけではない日本の食文化のひとつとして、さまざまなデザートを紹介したいのです」とは、ブームの火付け役である「MOF」のマーケティング&PRマネージャーのグエン・タン・ヴァンさん。

「MOF」は静岡産の抹茶や北海道産小豆を使ったメニューがそろう和風カフェで、そんな彼女の願い通り、今では昼夜問わず店は連日盛況となっている。最初はもの珍しさから訪れた人々も、いつしかリピーターに。さらに若者だけでなく、その両親、親戚の子どもたちと、口コミで和スウィーツファンが広がっているという。

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Photographs:Noriaki Sugita