プレッシャーのなかで演じ切った主演最新作

――最新作『犬の首輪とコロッケと』での主演は、オーディションで勝ち取ったのでしょうか?

 そうですね。オーディションでは、監督の成樹さんの前で芝居をしたんですが、「探偵!ナイトスクープ」の成樹さんを見ると、そんなやんちゃな人だとは思わないですよね。だから、その場ではパンチパーマでも坊主でもなんにでもなります、と言っていましたが、選んでいただいた後のプレッシャーはありましたね。

 でも、ご本人が目の前にいるので、わからないことがあれば、すぐに聞くことができる。具体的に悩んだのは、お笑い(漫才)のシーンだったり、自分には小さい頃から親父がいなかったので、映画では重要な<親父への想い>とかですね。

――今回の作品の現場で学んだこと、また完成した作品を見て印象的だったシーンについて教えてください。

 9日間で撮影するという強行スケジュールだったので、成樹さんに現場を盛り上げてもらって、引っ張ってもらいました。そんななか、もがいてもがいて、前向きにやっていく感じとか、現場での集中の仕方、言葉のやりとりなど、いろんなことを勉強させてもらった現場でした。

 それから、少年院から出てくる自分をお父さん役の山口智充さんが待っているシーンは、リアルにグッときましたね。その1年ちょっとのあいだに、主人公の知らないお父さんの苦労があって、というように山口さんの雰囲気がどこか老けてみえるんですよね。

――ほかに、作品のみどころみたいなものがあれば、教えてください。

 始めはケンカシーンから始まりますけど、想いのこもったせつないケンカだったりするし、父子愛だったり、彼女とのラブストーリーだったり、愛に包まれた作品だと思うんですよ。だから、その人と人との絆に、ちょっとホッコリしてもらって、前向きになってほしいですね。

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2012.01.06(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Toshiya Kondo