vol.15 有田(佐賀県)

日本の名水百選に選ばれた有田の水で育てられた鯉

香蘭社の特別展示室に飾られる100年以上前に作られた、超絶の器。

 佐賀県の有田市といえば、有田焼で名を馳せる日本磁器誕生の地である。

 今年は、有田焼磁器創業が400年を迎え、様々な行事が行われている。まず有田に出かけたら、窯元を巡ることをお奨めしたい。

 人間国宝を生み出した、柿右衛門窯、今右衛門窯、井上萬二窯を始め、香蘭社や源右衛門窯など、有名な窯元を巡るのもいいだろう。

人間国宝・井上萬二氏の手による壺。

 あるいは、有田で最初に陶器を生み出した、朝鮮から連れて来られた陶工、李参平の直系である李荘窯、ろくろ技巧の極地である清六窯や俊右衛門窯を巡って、その人間業とは思えない精緻の技に触れるのも素晴らしい。

 そのいっぽうで、有田は「食いだおれの有田」といわれた土地でもある。飲食店の数こそ少ないが、他にはない美味を味わえる土地でもある。また当然ながら、盛られる器は有田焼であり、料理も一層輝く。

 名物の一つに、鯉料理がある。日本の名水百選に選ばれた有田の水で育てられた鯉は、健やかな味わいで、我々を魅了する。

 市内には「龍泉荘」と「龍水亭」という2つの鯉料理屋があって、どちらも素晴らしい。

渓谷の雄大な自然を望む「龍泉荘」。

 渓谷の中に囲まれた風情のある佇まいの中で、景色を楽しみながらいただきたいなら「龍泉荘」。酢みその味わいと鯉こくの丸く深い味わいを堪能したいなら「龍水亭」をおすすめする。

2016.09.29(木)
文・撮影=マッキー牧元