肌のトラブルをやさしくいたわる、“バームスキンケア”のちから

 じつはみんな大好きだった“バーム”を主役にした軟膏美容、始まる!

 近ごろにわかに注目を集めているのが、“バーム”。単純に今、“バーム”を名のる化粧品が増え、バームファン自体も増えている。いや、じつはもともとバームというアイテムが大好きだったという人が、少なくないこともわかってきた。

 バームって何? というなら、化粧品のバーム=軟膏と捉えてもいい。軟膏とは、ワセリンや蜜蠟などをベースに薬を肌に塗りやすく半固形にしたもの。

 バーム自体が比較的広い意味をもち、明快な定義はしにくいが、“鎮痛剤”とか“心の慰め”、あるいは“香膏”といった意味もあるように、トラブルをやさしくいたわりながら治すもの。“癒しの塗り薬”という意味に訳してもいいだろう。

 基本的にクリームよりも重め。浸透させるというより、肌表面に膜を作るもの。とはいえ逆にリッチなクリームよりもサラッとしていたりもする。膜をパックの要領で使い、成分を押し込むのもバーム療法だし、風邪をひいたり呼吸が苦しい時に、胸もとに塗って香気を吸い込むことで治していくのもバーム療法。油の膜が内外に効果を行き渡らせるのだ。

 加えて、肌に強く吸いつくという膜の特性を生かした強めのマッサージも、バーム療法のひとつ。

a シアバターの働きで敏感な目元を集中保湿。2001年発売のベストセラー。
エクストラ アイバーム 13g ¥11550/ボビイ ブラウン

b 紫外線ケアをしながらコラーゲン生成を促進し、シワや小ジワを軽減する日中用バーム。メイク前の即効ケアにも。
エクストラ リペア モイスチャライジング バーム SPF25 47g ¥12075/ボビイ ブラウン

c bの夜版。睡眠中に集中保湿。
エクストラ リペア モイスチャライジング バーム 47g ¥12600/ボビイ ブラウン

d 100%オーガニックオイルベースの夜用バーム。
コスメデコルテ AQMW エッセンシャル バーム 22g ¥12600/コスメデコルテ

e 肌になじませると固形バームが液状オイルに。液ダレせず、しっかりメイクも一度でオフ。
RMKクレンジングバーム(M) 100g ¥3150/RMK Div.

f eをなじませた後、水を含むとジェルのような感触に変わるマッサージ面でクレンジング。その後、メッシュ素材のふきとり面で汚れを一掃。2ウェイタイプ。
RMKコットン 72枚入り ¥630/RMK Div.

 そんなバームだけの才能にいち早く目をつけて、バームの力を生かしきる“バームスキンケア”を提唱しているのが、ボビイ ブラウンだ。

 最近バーム状のクレンジングが人気だが、ボビイの“バームリンス”はその元祖とも言えるし、ボビイは日中の保湿も夜用クリームも、アイクリームまで、みんな“バーム”。

 そして、バームを主役にした独自のお手入れ法を提案している。バームの密着膜を利用して、日々のお手入れでフェイススリフトする、とてもユニークなもの。肌を持ち上げ、上向き顔を作るバーム用メソッドだ。

 もともとボビイは、フェイスリフトに“メスはいらない”とメイクでも顔を持ち上げて若返らせる、独自の方法を提案してきたが、スキンケアでも毎日の基本ケアだけでナチュラルにフェイスリフト効果が目に見えるという仕上がりを生み出した。そのために不可欠なのが“バーム”だったということなのだ。クレンジングで、保湿で、アイケアで、バームにバームを重ねると、本当にハリと弾力がハンパじゃない、すごい肌ができあがる。

 一方、バームのイメージを変えるほど洗練されたなめらかな使用感としっとりした仕上がりをもたらしたのが、コスメデコルテ AQMWのエッセンシャル バーム。肌をマスクするように使うのがおすすめだ。バームの“香軟膏”という訳のように、白檀の香気成分を湧きあがらせて、鼻の下に、胸もとに塗って香りをきかせるお手入れ法も新しい。

 さらに今、クレンジングオイルを“バーム状”に固形化するのがひとつのトレンド。RMKのクレンジングバームも肌の上でとろけるバームオイルだ。これを濡れたコットンでふくという新しいクレンジング法も提案している。まさにバームでなければできないケア。

 ひょっとするとバームが、これからのスキンケアを大きく変えることになるかもしれない。ブレイク前夜というところか?

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数

 

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2012.01.11(水)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa(still life)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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