いろいろな具を楽しめるチェンドル

 最後に、マレーシアでいただけるさまざまなチェンドルをご紹介します。いろいろとトッピングを楽しめるのもチェンドルの魅力ですので、ぜひトライしていただきたいです!

マラッカの町の外れにある、いろいろな具を楽しめるチェンドル屋。メニュー看板にそれぞれ具の名前が書かれている。上から、「発酵した生菓子」「とうもろこし」「もち米」「ドリアン」「豆」「チェンドル大盛り」「普通のチェンドル」。

 まずは、チェンドル発祥の地である世界遺産の町マラッカでぜひ食べていただきたいのが「ニョニャ・チェンドル」。チェンドルにかけられている黒蜜シロップは、椰子砂糖「グラマラッカ」を煮詰めたものから作られていますが、グラマラッカの多くはマラッカで作られています。そのため、マラッカでいただくチェンドルは、マレーシアの他の地域のものよりも濃厚で美味しい黒蜜シロップがかかっているのです。

黒蜜シロップがたっぷりとかかったニョニャ・チェンドル。固まった氷をざくざくと崩していくと、ココナッツミルクと濃厚な黒蜜シロップが混ざり合って、氷が溶けきっても濃い味のチェンドルが楽しめる。

 お次は少し変わり種のチェンドルです。もち米やウビと呼ばれるキャッサバ芋を発酵させたぷるんとしたスイーツ「タパイ」をトッピングしたものと、果物の王様ドリアンをトッピングしたもの。どちらも単体でも結構な香りを放つ存在感のため、「合うのかしら……」と不安になりますが、意外にいけます。どちらも、どこにでもあるというものではありませんが、主にマレー系民族が営むチェンドル屋さんでは見かけることが多いです。

左:甘酒のような香りを放つタパイ・ウビをのせた「チェンドル・タパイ」。柔らかいタパイを少しずつ崩しながらココナッツミルクを混ぜ合わせていくと、ほんのりお酒のような味もして美味しい。
右:実は氷の下にドリアンの果肉が隠れている「チェンドル・ドリアン」。ドリアンとココナッツミルクの相性は抜群なので、ドリアン好きにはぜひ試していただきたい。

 また、こんなドリンクスタイルで提供されるチェンドルも。ジュース感覚でいただくタイプですので、ちょっとボリュームのある甘いドリンクが欲しいなあ~という時にぴったりです!カフェやドリンクスタンドなどでチェンドルを頼むと、このスタイルで出てくることが多いです。

コップでサーブされるタイプは、ストローと一緒に具をよそう長い柄のスプーンもついてくるので、小豆やチェンドルゼリーはすくっていただこう。

 いかがでしたか。常夏の国で楽しむひんやりデザート「チェンドル」。緑色のにょろにょろゼリーの正体も分かっていただけたかと思いますので、マレーシアで発見した際は、ぜひ試してみてください。

クアラルンプール郊外の町ぺタリンジャヤの路肩で人気のチェンドル屋台。氷の塊を氷削り器で一気に削り、手際よくゼリーや黒蜜シロップ、ココナッツミルクをかけていく。氷が溶けてひんやりとしたココナッツミルクドリンクと一緒に具をすくっていただこう!(動画提供:Nao)

マレーシアごはんの会 三浦 菜穂子(みうら なおこ)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベントを企画・開催、マレーシア料理店のサポートを行う。バックパッカーとして1998年にマレーシアを訪れて以来、マレーシア全州を周り、訪馬回数は40回以上にのぼる。ガイドブックには載っていない小さな田舎町を訪れ、のどかなマレーシアの人、ごはん、風景を、写真や体験談を通して広めている。
ブログ http://blog.goo.ne.jp/cintamalaysia

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2016.09.23(金)
文・撮影=三浦菜穂子