世紀末のアンニュイな世界で飲茶を食す!

インテリアを担当したのは新進のデザイナー、ジョイス・ウォン。店名の「Mott 32」は、1851年創業のNYのチャイナタウン発祥のお店の住所とか。

 香港の魅力というかスゴさは、バラエティに富んだ顔を見せてくれるところではないかと思う。ひしめく高層ビルのビジネス街があるかと思えば、湯気の上がる屋台のエリアあり、そして「ジ・アッパーハウス」のような極上洗練のデザインを見せてくれるのも香港だ。

 さらに、エキゾチックのツボを知っているというか、かつての租界のイメージあるいはちょっと魔境の雰囲気みたいな……。そんなあたりを実に洒落た感じで見せてくれるのも、この街ならではでないかと感じる。で、この「モット32」というレストランが、その代表格。19世紀末のNYのチャイナタウンをイメージしたつくりなのだが、なにやら紫煙漂いそうなアンニュイな空間だ。

ここがいちばん小さい個室。シャンデリアやランタンありの照明器具がなんともいい雰囲気を醸し出している。

 場所はセントラル(中環)。文字通りの中心街で、世界第5位のスタンダード・チャータード銀行ビルの地下深く。周辺はピカピカの高層ビル街ながら、地階に広がるレトロな空間は完全に別世界だ。

 広い店内には、広さもインテリアも違う個室が5室あり、各部屋をのぞいて見るだけで、ちょっとドキドキするような禁断感が味わえる。あくまでもイメージなのだけれど、なんかちょっとイケナイ感じの匂いがするような……。

壁面にずらりと毛筆がかけられている個室。なんともいえぬ空間で、妙に落ち着く。

 で、肝心の料理もかなりおいしい。元マンダリン オリエンタルの料理長がシェフというだけのことはありで、広東料理を基本に、四川や北京料理も取り入れた見事な料理だ。

左:天井に見えるのはソロバンをイメージした飾り。NYのチャイナタウンが、一軒の雑貨屋さんからはじまったので、そのお店へのオマージュだ。
右:キャビアの載った焼売は、イベリコ豚を使っており一皿65香港ドル(約850円)。

 食材へのこだわりももちろん。イベリコ豚使用のチャーシューなど、唸らせるセレクションで客の期待を超えてくれる。いま流行りの「メロンパン肉まん(外側がメロンパンのような食感の肉まん)」にも、イベリコ豚を使っている。腸粉もおいしいのでぜひ!

Mott 32(モット32)
所在地 Standard Chartered Bank Building, 4-4a Des Voeux Road, Central
http://www.mott32.com/

【Column 02】フットマッサージならここ!

「ゼン」はビルの18階にあるが、このビルには他にもフットマッサージのお店がたくさん入っているので、間違えないように!

 観光、買いものと香港を楽しむにも“足”は重要。数あるフットマッサージ店の中でも、清潔で感じのよい「ゼン」をご紹介しておこう。「モット32」から至近なので、中環に出かけたら、帰りがけにどうぞ。228香港ドル/50分(約3,000円)。ボディマッサージやリンパマッサージもやっている。

ZHEN(ゼン)
所在地 Suite 1802, Century Square, 1-13 D'Aguilar Street, Lan Kwai Fong, Central
http://www.sassyhongkong.com/zhen-foot-spa-body-massage-hong-kong/

2016.09.14(水)
文・撮影=大沢さつき