前野朋哉と漫才コンビを演じた主演最新作

――ちなみに、前野朋哉さんや渡辺大知さんといった仲間たちが先にブレイクしていくことに対しては、どのように捉えていましたか?

 みんなライバルというより仲間という感覚なので、みんなが売れていくことは喜ばしいこと。ポジティブな闘争心みたいなものは湧きますけれど、みんな同じ気持ちだと思いますね。でも、さすがに渋谷のビルボードで、前野くんの一寸法師を見たときは「え、こんなことになっちゃったの?」と思いましたね(笑)。

――渡辺謙作監督は以前からお知り合いだったようですが、主演最新作『エミアビのはじまりとはじまり』での主人公のキャラ設定が漫才師というのは偶然ですか?

 そうだと思います。最初に脚本を読んだとき、漫才師の話だったので驚きました。じつは僕の中で、お笑いと映画の相性って良くないんじゃないか、題材になりにくいんじゃないかと思っていたんです。実際、お笑い芸人を扱った映画ってあまり撮られていないんですよ。でも、謙作さんの映画で主演をやるからには、自分が今までお笑いをやってきたことから得たアイデアも出せたらいいなと思いましたね。

――友達である前野さんとコンビを組むことに関してはいかがでしたか?

 いくら友達とはいえ、漫才コンビになるというのは大変なことで、難しかったですね。僕のやりたいカタチの漫才もあれば、前野くんのやりたいカタチの漫才もある。お互いの意見を尊重しつつも、本音でぶつかり合える親密な関係にならなきゃいけない。だから、好きな音楽のCDの貸し借りをしたり、一緒にカラオケに行って歌ったりして、ちょっとずつ距離を縮めていった感じです。結果、相方が前野くんで本当に良かったと思っています。

2016.09.02(金)
文=くれい響
撮影=松本輝一