通りすがり絵

なかむらるみ

今やファッションもカルチャーもガラパゴス化してますが、人間のタイプは地域によって属性が分かれるようです。そこで『おじさん図鑑』で計り知れない観察眼を披露したなかむらるみさんが、通りすがって思わず二度見した人達を観察&採取。果たしてどんな人種が!?(「CREA」にて好評連載中。不定期更新)

※ 連載中は最新の3話を公開しています。

 ここ数年、オーバーオールを探している。でも、見るだけ。欲しいのに、怖くて買えない。着るとちょっと痛い人に見えるんじゃないかと、買えないのだ。

 そもそも昔からオーバーオールが大好きで、高校生のときも私服だったので、制服みたいにオーバーオールを着ていた。その頃は若さでかわいく着れていた、と思う。高校を卒業した頃、ふと気付くと「なんか似合ってない……」と思った。子供っぽすぎるのが、急に恥ずかしくなってしまい、誰にあげたのか、捨てたのか忘れてしまったが、お気に入りの2つのオーバーオールは葬り去られた。着たいなあという思いも、封じ込めたように思う。

 その封じ込めた気持ちの箱を開けてしまったのは、CREAでも連載されている菊池亜希子さんだ!(一度だけ取材でお会いしたことがある) 

 当時30歳だというのに、かわいくおしゃれに堂々とオーバーオールを着ている姿は衝撃的だった。それまでも、大人でオーバーオールをかわいく着ている人は見たことがあったが、ちょっとぴたっとしたやつだったり、ハイヒールを合わせたり、外しアイテム的な扱いだった。求めていた、あのワークスタイルのままのオーバーオールを、菊池亜希子さんは着こなしていた。

 それは、「やっぱりかわいいなあ、30代でも着てもいいんだ」という気持ちにしてくれた。着てもいいと言われたら、着たい。着たい、着たい~! というわけで、探してるのである。

 ただただ! 体形が違いすぎる。首の長さが違いすぎる。わたしは髪形もおかっぱだし、頭の中で着た姿を想像すると菊池亜希子さん的なのだが、実際着ると、どうやっても歌手のイルカさんみたいになってしまう。ちがーう、そっちじゃない。イルカさんはいいのだ、その当時のことだから。若いし、歌うまいし! でも平成に、35歳のイラストレーターが昭和のイルカさんでは困るのだ。

 さて、そんなイルカさんは、今はさすがにオーバーオールはやめたのかなと思って調べてみると……オーバーオールはもちろん、オーバーオールより攻めている、ミニスカートタイプのオーバーオールなんかも着てらっしゃった。すごいなあ! 勢いがとまっていない。こういう人が、歌手になるんだ。これぞ、アーティスト! わたしもがんばって着てみようかな。

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なかむらるみ 近況

ついにオーバーオールをみつけました! YARMOというイギリスのワークメーカーのものです。デニムではなくコットンの薄い生地で軽くて、もっさりして見えません。とってもおすすめです。

プロフィール

1980年東京都新宿区生まれ。イラストレーター。武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒。雑誌、書籍などを中心に様々なイラストを描いている。「CREA」「ビッグコミックオリジナル」「翼の王国」などで連載中。著書に『おじさん図鑑』(小学館)、『おじさん追跡日記』(文藝春秋)。好きなものは、コーヒーとリュック。

ホームページ:「TSUMAMU」 http://www.tsumamu.net

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