イギリス料理の魅力が詰まった朝食をご一緒に

レストラン「ウォルズリー」の1920年代建造のアールデコの建物。一部残るシノワズリーは、中国料理店だった名残。建造物としても興味深い。13年前のオープン時には、朝7時から通し営業の店はほとんどなかったそう。

 「イギリスで美味しいものを食べようと思ったら、朝食を3度とるといい」。これは、皮肉屋で知られるウィリアム・サマセット・モームの言葉。

 美食の国へと変貌を遂げた現在の英国にあっても、朝食は3度食べたいくらいに魅力的だ。ただ実際は、あまりのボリュームで3度食べるのはムリだけど。

 フル・ブレックファストが成立したのは、ヴィクトリア朝のころとか。

 イギリス人の好きなものが詰まっているといわれるその中身は、卵料理、ベーコン、ソーセージ、ベイクドビーンズ、ハッシュドブラウン(ポテト)あるいはチップス、ベイクドトマト、ベイクドマッシュルーム、そしてブラックプディング(血のソーセージ)といったラインナップ。これが、店によって工夫を凝らしているから楽しくなってくる。もちろん、単品での注文も可能だ。

 イングリッシュ・ブレックファストのみならず、最近はギリシャ風や中東風、アイルランド風に中国風など、各国の朝食をいただける店も次々オープン。朝食ブームでもあるようだ。

 朝はどうも食欲なくて、という方もご安心を。「オールデー・ブレックファスト」といって、一日中朝食を提供するパブやカフェもあるから、時間をずらしてどうぞ。夕方とる朝食も素敵なものだ。

Photo=Takashi Shimizu
Text=Michiko Watanabe
Coordination=Mayumi Ekuni