銀座のデパ地下でクールダウンできる日本茶専門店

茶の葉 銀座店(東京・銀座)
甘味:生菓子、煎茶白小豆、コイン焼

松屋銀座の地下の隅にある入口。

 甘味処やカフェというのは、予約して行くのではなく、ふと思い立った時に出かける場所だと思いますが、「甘い物が食べたい」のか「ひと息つきたい」のかは、その時々で違うもの。そして、その動機によって、行くお店を分けていたりもするものです。

蓮の花が生け込まれた盛夏の店内。1982年にたまプラーザで創業し、銀座店は1984年にオープン。

 「茶の葉 銀座店」は、私がひと息つきたい時に駆け込む、松屋銀座の地下1階の癒しのスポット。暖簾をくぐれば、そこは蛍光灯に照らされた食料品売場の生活感が瞬時に遠のく、別世界です。

店内奥の待合席側から見た店内。カウンターは7席。

 照明を落とした空間の静けさは、まるでバーのよう。カウンター席の角の床には井戸が設けられ、そこに生け込まれた季節の花や緑が、野山の風情を運んでいます。席に着き、井戸に流れ込む水のせせらぎの小さな音に気付く頃には、すっかり気持ちはクールダウン。植物や水の気配に包まれると、暑い夏などは体にこもった熱がやさしく下がっていくのが感じられます。

「煎茶セット」(756円)の一例。生菓子「蛍きんとん」は粒あん入り。

 基本のメニューは、セット(煎茶・抹茶・玉露のお茶1種とお菓子/756円)かコース(玉露・抹茶・煎茶とお菓子/1,944円)。「茶の葉」はそもそも日本茶の専門店なので、どちらかといえば主役はお菓子よりもお茶です。とはいえ、季節を先取りした風情の生菓子は上品で、和菓子の王道の味わい。煎茶も「渋め」や「甘め」など、自分の好みに近い茶葉を選んで淹れていただけます。

秋のお抹茶セットの一例。漆盆にのせた温かみのある演出が素敵。

 お茶とお菓子のセットは、夏は涼しげなアクリル盆、秋冬は漆盆にのせて供されます。抹茶や焙じ茶のセットを注文すると、お盆の空いたスペースに季節の枝物があしらわれます。

2016.08.27(土)
文・撮影=小松めぐみ