「半沢直樹」抜擢の裏側

――13年、話題作のドラマ「半沢直樹」では、湯浅役を演じました。

 「半沢」のプロデューサーさんはTBSの深夜ドラマ「クローン ベイビー」で、僕に初めてドラマのレギュラーをくれて、その後もいろんな作品で使ってくれた方なんです。それで、「半沢」でも僕を推薦してくれたんですが、台本読んだときにとても面白い役で、これは是非やりたいと思いました。でも、じつはいろいろあって、最終的に出演が決まったのは、撮影の前日なんですよ(笑)。

――大正時代を代表する叙情画家・竹久夢二を演じた最新作『夢二~愛のとばしり』は映画初主演作になったわけですが、夢二役に抜擢された率直な感想を教えてください。

 最初、宮野監督にお会いしたときは「なんで、僕なんだろう。僕でいいんですか?」ときいたぐらい驚きました。もともと『夢二』の企画はあったそうですが、監督が僕の出ていた「コンプレックス☆ステッカー」というフェイクドキュメンタリー舞台を観たのがきっかけなんです。そのとき、僕が持っていた“何にも満足していない感じ”が、どこか夢二のキャラクターとリンクしたようで、駿河太郎でやってみたいと思ってくださったようです。

――今回の役作りについては?

 クランクインする前に、監督とキャラクターについて疑問点などを何度も話し合いました。その時点で、監督との信頼関係が築けていたと思います。ただ、90%等身大の駿河太郎で演じていた舞台「コンプレックス☆ステッカー」を観て、監督は僕を選んでくれたということもあり、時代考証のようなものはありますが、そこまでガッツリ役作りをしようとは思いませんでした。

2016.07.29(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤