人物スナップ撮影・究極の選択 その1
「話しかけてから撮る? 撮ってから話しかける?」

左:モン族の村で出会った小学生2人。はにかんだ表情がなんともいい感じだからパチリ!
右:タートルアン詣でにきた女性は両手いっぱいにお供え物を抱えて。

 最近では肖像権という問題から人物スナップの撮影が難しくなってきている。しかし肖像権ばかり気にしているとフォトジャーナリズムの衰退にも繋がりかねない。ここでは難しい論争はさておき、旅をしながら人物スナップを撮る時の基本は「話しかけてから撮る」か「撮ってから話しかける」の二者択一となる。

 話しかけてから撮ると相手がかしこまってしまい、いい表情が撮れない。ならば、隠し撮りとまでは言わないがまずは撮影、そして話しかける。この選択はその場の雰囲気で自ら判断しよう。またこの選択は目線をもらうか? 目線なしか? にもつながってくるので、その点も留意しながら選んでほしい。

左:モン族の衣装をお父さんに着させてもらっている女の子
右:ルアンパバーンのパン屋「ル・バントン」のお兄さん。ここのクロワッサンは絶品!

 話しかけて撮影のOKがもらえた場合は撮影セッティングに余裕ができるので、マニュアルモードで被写界深度を浅くしたり、深くしたり自分の思いのままに撮る。

 話しかける前に撮る場合は、その人の最高の瞬間を逃さないためにも撮影モードはプログラムオートがオススメである。お祭りや子供が遊ぶシーンなどはこちらの場合が多い。

左:象使いの村キャットゴーン村に住む女性。一見怖そうだが話しかけたら優しかった。
右:モン族の村のお店で出会った少年。日本人の誰かに似ている!

 どちらにしても相手に不快感を与えないように話しかける。そして相手に撮影を拒否されてもめげてはいけない。旅はまだまだ続くのだから、めげない精神力を鍛えよう。10人話しかけて1人OKをもらえたらラッキー! ぐらいな心構えで撮影に臨もう。

2016.07.23(土)
文・撮影=山口規子