野生動物の暮らす美しき貯水池

 こちらがその貯水場所になっている湿地帯。広大な敷地を確保してあります。この広々とした眺め、私たちもなんだか癒されますね。

水を貯えた湿地帯。

 貯水局の管理の下にあり、人の出入りが少ない湿地帯は、動物たちにとって安住の地。ここでは、たくさんの野鳥がのびのびと暮らしています。

貯水場で漁に勤しむカワセミ。(C)Sergio Stignani

 その暮らしぶりから、ここが彼らにとって楽園であることが分かります。

貯水場に巣を作るセイタカシギ。(C)Sergio Stignani

 年々たくさんの鳥たちがここに移住してきて、ここで見られる鳥の種類も増えたそうです。

貯水場に暮らすアオサギ。(C)Sergio Stignani

 もしこの貯水場が、コンクリートに囲まれたダムならばありえなかったこと。できるだけ自然に沿う形で作られたからこそ、ここが鳥たちの楽園になったのです。豊かな自然は私たちにとっても大きな財産です。それが、本来人工的な調水施設と一体化しているというのがなんとも素晴らしいではないですか。

夏には睡蓮の花が一面に咲きます。

 イタリアの本当の良さは、自然のあるがままの美しさを知って、それに沿って、おおらかに生きていることではないかと思います。

 私たちは自分たちの生活を便利にするために、たくさんの自然を破壊してきました。その一方で自然を守るといって、手を施してきましたが、破壊と保護を繰り返す、そんなやり方はもう正しいと言えないのではないのでしょうか。こんな風にそっと寄り添うようなやり方を、今から探していけたらいいですね。

 この調水施設には博物館があり、見学することができます。またアルジェンタの自然を紹介する、湿地帯博物館もあります。詳しい情報はホームページにてご覧いただけます。

Museo della Bonifica(湿地帯博物館)
URL http://vallidiargenta.org/museo-della-bonifica/

藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブックはこちら。 https://www.facebook.com/chococogogo

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文・撮影=藤原亮子