プロプリアーノ村が誇る名店で食べたいシャルキュトリ

店に入ると食欲をそそる香りが。ソシソンがずらっと吊るされている様子は圧巻。
お店の前の通りは飲食店やお土産店などが並ぶ。開店準備に忙しい店主たち。

 ここは美食の島、コルシカ。ワインと一緒に美味しい生ハム、ソシソン(乾燥させ発酵させた豚肉)、パテなどのシャルキュトリ(主に豚肉の加工食品)を存分に味わうのもお約束です。

 アジャクシオ市内から車で1時間ほどの小村プロプリアーノにある、地元の人から愛される「Tempi Fà (タンピ・ファ)」は、「昔ながら」という意味の店名のとおり、コルシカの美味をぎゅっと集めたお店です。

 お店の入り口付近から早速ところ狭しと、シャルキュトリ、チーズ、ワイン、ハチミツ、栗粉、ジャム、ハーブなどのコルシカ名物が並んでいます。買い物だけでもOKですし、奥で食事をすることもできます。ワインはボトルで頼んでも、日に数種類用意されるオススメのグラスワインをチョイスしても◎。

ワインのセレクトにも定評があります。もちろんすべてコルシカ産。

 しかも、ただコルシカ産であれば良いということではなく、それぞれの食材がどのような環境にあり、いつどうやって加工されたのか、トレーサビリティのしっかりしたものを直接買い付けているのだそう。コルシカ産シャルキュトリはフランス全土でも高級品として扱われていますが、特に生ハム、ソシソンには本当に独特の風味を感じました。

左:「当店自慢のシャルキュトリを試してみてください」と、スタッフさんが盛り付けられたそれぞれの説明をしてくれました。
右:鮮やかな色合いから血のような深い色へのグラデーションも楽しめます。
グラスワイン(赤、白、ロゼ)ほかオススメの飲み物。ドメーヌ・ド・ヴァッチェリもオンリストされています。

 シャルキュトリのなかでもコルシカで試していただきたいのは2つ。まずひとつめは、豚の赤身の肉と脂身にレバーなどを一緒にして詰め、短期間燻製させる、血入りの「フィガテーリ」。溢れる野性味が魅力で、獣を思わせる香りの中に鉄分を感じ、それにしっかりとしたコクのある大変美味しい逸品です。これには、独特で滋味深い味に負けないくらい、タンニン(渋み)が豊かで飲みごたえのある赤ワインと相性がよいです。

 また、レバーや血のニュアンスが苦手な方には、旨みたっぷりの生ハム「プリジュツ」がおススメ。塩味はしっかりありながら強過ぎず、意識すれば栗のニュアンスが感じられます。ねっとりとした食感もクセになってしまいそう。こちらには、キメ細やかなタンニンと、繊細な酸味のある赤ワインがオススメ。

 コルシカは場所によりフランス語しか通じないところもありますが、こちらのお店は英語でも大丈夫。ワインの好みを伝えれば、最高のマリアージュとなるシャルキュトリをお勧めしてくれるのが嬉しいです。

左:ナポレオンの母レティジアの好物だった「ブロッチュ」などチーズプラトーも美味!
右:ブロッチュ1カ月熟成には、コルシカの南、東海岸のリゾート地でもあるポルト・ヴェッキオで造るフルーティな白ワインを。

Tempi Fà(タンピ・ファ)
所在地 7, Avenue Napoléon 20110 Propriano
URL http://www.tempi-fa.com/

Domaine de VACCELLI(ドメーヌ・ド・ヴァッチェリ)
所在地 Lieu-Dit, Aja-Donica  20123 Cognocoli-Monticchi

Hôtel Demeure Les Mouettes(オテル・ドムール・レ・ムエット)
所在地 9, cours Lucien Bonaparte 20000 Ajaccio
URL http://www.hotellesmouettes.fr
※マキのハチミツ、石鹸などを購入できるホテル

須藤みほこ(ワイン&フードスタイリスト)

社団法人日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。ワインメーカーに勤務後、ワインと食をテーマにフリーランスとして雑誌や書籍で活躍。著書に『シャンパン&スパークリングワイン』(主婦の友社)、『フランスAOCワイン事典』(三省堂・共著)など。