ロンドンの格調高いホテルはとり澄ましているどころか、常に華々しく、かまびすしい。

 王族やセレブたちの人間臭く賑やかな逸話に加え、最先端を突っ走る食やサービス、そして家よりも落ち着ける快適さと平穏もあり。ロンドン滞在だからこそレガシーホテルを遊び尽くせ!

» 第2回 ダンディでコスモポリタンな「ザ・コノート」
» 第3回 絶妙のプライベート感「ザ・バークレー」
» 第4回 小気味よく新鮮なクラシック「ザ・レインズボロウ」

ロイヤルだからこそ親しみやすい、そこが魅力

◆ CLARIDGE'S (クラリッジス)

ロンドンっ子がめかし込んで行くホテル、それがクラリッジス。大階段と磨き込まれた大理石の床にも注目だ。

 クラリッジスの格は歴史が証明済み。滞在中のナポレオン3世の皇后ウージェニーをヴィクトリア女王が訪ねて以来、ここは国王が宮殿の外で唯一、賓客を迎える場所となった。戦火のころには欧州の各王室が大挙して長期逗留し、ユーゴスラビアの后が産気づいた時は、その領土で生まれるべく定められた王子のため、ベッド下に土を撒き、時のチャーチル首相が「ここはユーゴスラビアの領土なり」と宣言した。その彼が選挙に敗れ首相官邸を去った後、傷心を癒やしに身を寄せたのもクラリッジスだった。

雰囲気あるドアマンの典型!
左:リンリーがデザインしたスイート。スイートごとに趣は異なる。
右:吉田茂をはじめ各界のVIPが常宿に。
デイヴィス・ペントハウスは234平方メートルもの広さでビッグベンを一望できる。
左:デイヴィス・ペントハウスの寝室。
右:スイートにはバーバリーの女性用、男性用のトレンチが備えつけ。
リンリーがデザインしたマップルーム。

Photo=Yuji Ono
Text=Kazuhiro Nanyo
Coordination=Mihoko Ogawa-Higgins
Special Thanks=VisitBritain