グルメな人への手みやげには何を持っていくべきか。手みやげ関係で、最も悩むところですよね。

 そんな時の私のおすすめが、今回ご紹介する銀座にあるウィーンの伝統的なお菓子の専門店、「ハプスブルク・ファイルヒェン」です。ファイルヒェンは“菫(すみれ)”の意味。エリザベート皇妃の愛した菫の花や菫のお菓子にちなんだ店名なのだそう。

缶に整列したクッキーの清楚で上品な姿にうっとりします。多すぎない量にもありがたみがあります。

 このお店のテーベッカライ“クライン”(3,400円)。本当にすばらしい3種類のクッキーの詰め合わせです。

 香り高いバニラのクッキーで爽やかな酸味のある杏のコンフィチュールをサンドした“バニーレ”はしっとりとした口当たりの優しいクッキー。チョコレートクッキーでホワイトチョコレートを挟んだ“ショコラーデ”はコリッとした歯ごたえと、カカオの香ばしい風味がたまりません。

 そして、シナモンや柑橘類の風味のクッキーでラズベリージャムを挟んだ“リンツァー”。オーストリア北部の街、リンツ発祥のお菓子で、複雑かつ洗練された味の焼き菓子です。

四角いのがリンツァー。シナモンの香りが広がるオトナな味です。舌の肥えた人も喜んでくださるはず。

 それぞれの完成度の高さはもちろんなのですが、この3つのクッキーの組み合わせがまた、さすがなのです。3種類をひとつずつ食べると、「ああ、どれもおいしかった!」と、贅沢をした満足感が得られます。

 ヨーロッパの王室の人たちが愛したティータイムの優雅なひとときを再現してくれるような味です。

2016.07.05(火)