納豆ラーメンの醍醐味は
粘りが溶け出したトロトロスープ!

納豆ラーメンは700円。卵がトッピングだったか、デフォルトだったかは失念。

 私は納豆ラーメンを食べたことがなかった(どれくらいポピュラーなのかわからないけど、ネットで検索してもそんなに出てこなかった)。自作のラーメンに入れてみたいと思ったこともない。

 初めて目の前に現れた納豆ラーメンは、ひきわり納豆がひとかたまり、こんがり焼かれてのっかっている。京ラーメンシリーズのひとつで、健康鶏ととんこつ、魚介のだし。そこに納豆が入っているという感じである。

 鶏+とんこつ+魚介のスープは、そもそもとろみがあるタイプ。それだけでも大好きな味なのだけれど、ここに納豆の粘りを混ぜ込むとどうなるかというと、もっとトロトロになるんですよ! ネバネバというよりも、トロトロになったスープは、はっきり言って恋せざるを得ないおいしさになっていた。質感だけでなく、味はまろやかに、納豆のネバネバが持つ旨みが全体に溶け広がった感じで、予想以上にハマってしまった。

 さらに、「自家製麺 のぼる」というだけあって、こちらは自家製のやや細麺がとってもおいしい。きゅっきゅとした、ほんのり甘みさえ感じるような素晴らしい麺だ。そこで、もうひとつ納豆の利点! スープがトロトロだから麺によりいっそう絡みつきやすくなっているというわけ。

 なんで納豆を焼いているのかも気になる。香ばしさもよいけれど、温度の意味も大きいような気がした。だって、冷たい納豆が入っていたら興ざめですもの。加熱してあたたかく、ほんのりやわらかくなった納豆のほうが、スープにも麺にもなじみそう。

 真面目に麺を作っている店主は、納豆の起用を決めたとき、さぞかし膝を打っただろうなぁ。こんなに相性のいいものがあったとは! と。普通の京ラーメンも食べさせてもらい、それもおいしかったけれど、私は断然納豆ラーメン派だ。

 金沢に行ったらまた食べたいけれど、エスニックラーメンとか夏は冷やしラーメンなどもあるらしいので、滞在中2回行かなきゃならなくなるのだろうか。こうして、金沢滞在がますます忙しくなるのだ。

また行ってしまいました。「犀与亭」の牛鍋。

自家製麺 のぼる
所在地 石川県金沢市玉鉾1-177
電話番号 076-200-9397
[2016年2月来訪]

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2016.05.18(水)
文・撮影=北條芽以