黄金の町として栄えた時代の賑わいを追体験

 今や台湾を代表する観光地のひとつとなった九份。清の時代にはわずか9戸の家が佇むだけ辺境の村だったとも言われ、今から120年ほど前、金鉱が発見されて風景は一変。鉱山で働く大勢の人々が集まり、偉容を誇る豪奢な建築、多種多様な商店・料理店が軒を連ねて活気にあふれ、いつしか“小香港”と讃えられるまでになった。

左:誰もが記念撮影をしたくなる豎崎路の一角。明かりが灯るといっそう幻想的な光景に。
右:名物屋台のひとつ、焼きエリンギ屋さん。

 しかし1971年に金鉱は閉鎖。人々は去り、完全に忘れ去られた町となるが、それが結果として特異な景観を奇跡的に残すこととなった。映画『非情城市』のロケ地となり、宮崎駿監督のアニメーションに出てきそうな幻想的で郷愁をそそる光景は九份特有。小さなお店がみっしりと並ぶ老街を散策しながら屋台グルメを味わったり、雑多な品が並ぶお土産物屋さんをのぞいたり……。楽しみも豊富だ。

ひと休みするならここ! お芋とお餅の入ったぜんざいで大人気の「賴阿婆芋圓」。温かい、冷たいから選べる。1個45元

 とにかくいつでもたくさんの観光客で大賑わい。坂道や階段も多いので、歩きやすい靴と身軽な装いが必須だ。

ACCESS
台北市内から車で約1時間。MRT忠孝復興駅から「金瓜石」行き路線バスで「九份老街」下車、所要時間は約1時間30分~2時間

Feature

台湾を代表する人気スポット
「九份」でお買い物!

構成・文=矢野詔次郎
撮影=橋本篤
コーディネイト=トップタイワン・メディアファクトリー