世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第129回は、小野アムスデン道子さんがオーストラリアでラグジュアリーな鉄道旅行を楽しみます!

港町ダーウィンで巨大ワニに出会う

明けの明星がまだ輝く夜明け前のウルル。シルエットもまた美しい。

 明けの明星がまだ輝く朝、大地に黒いシルエットで浮かぶ巨大な岩。オーストラリア、ノーザンテリトリーの赤い大地にそびえる“ウルル”だ。

 英語名は、イギリスの探検家が発見した当時のサウス・オーストラリア植民地総督のヘンリー・エアーズからつけられた“エアーズロック”。青春小説の中で登場し“セカチュー”と呼ばれたあの場所。オーストラリア大陸縦断鉄道ザ・ガンに乗って、そのウルルに向かう旅に出た。

 旅の出発点は、ノーザンテリトリーの州都ダーウィン。ここは、レッドセンターと呼ばれる赤土に地面を覆われた同州中心部と違って、熱帯雨林気候のトップエンドと呼ばれるエリアにある。

ダーウィン市内を循環し、乗り降り自由なのが便利な「ダーウィン・エクスプローラー」のバス。運転手さんは降車時に、次のバスの時間を教えてくれたり、とても親切。

 ザ・ガンの駅があるのんびりした雰囲気の港町。野生のワニ(クロコダイル)が数多く生息するカカドゥ国立公園の玄関口だけあって、こんもりと木が茂り、海岸にもワニが出るので遊泳はできない。

風光明媚でおだやかなヨットハーバーにも、口を大きく開けたワニが。

 街を循環する2階建てのバスが走り、ヨットハーバーにカフェ、小洒落たレストランやアーケードなどもあるが、じんわり湿気を帯びた空気にはすでに何やら冒険的な気分が伴う。

群れ合う大きな魚たちに最初はたじろぐが、そのうち「来い来い」とばかりに直接、餌やり。

 ここで、満潮時に立ち寄った「アクアシーン」にて、フィッシュ・フィーディング、つまり魚の餌付けをするのだが、餌はなんと食パン。それを手でちぎって岸辺から放り込むとナマズやミルクフィッシュなどの巨大な魚がワサワサやってきて奪い合い。ちょっと恐いぐらいだが、手から直にパンをもらいにやってくる魚もいて、慣れるとちょっとかわいい感じも。

Aquascene(アクアシーン)
所在地 28 Doctors Gully Rd, Larrakeyah NT 0820
電話番号 08-8981-7837
URL http://aquascene.com.au/

アクリルで囲まれているとはいうものの、本気モードで体当たりしてくる体長5メートル、体重980キロの巨大ワニの迫力はかなりのもの。

 そして、トップエンドのシンボルの一つであるワニについてのミュージアム「クロコザウルス・コーヴ」では、5メートルの巨大ワニのいるプールに(もちろん透明アクリルのケージの中だが)一緒に入ってしまうという、なんとも迫力のあるアトラクション「ケージ・オブ・デス」が体験できる。

Crocosaurus Cove(クロコザウルス・コーヴ)
所在地 58 Mitchell St, Darwin NT 0800
電話番号 08-8981-7522
URL http://www.crocosauruscove.com/

 スパや造波プールまであるウォーターフロントのホテル「アディナ・アパートメント・ホテル・ダーウィン・ウォーターフロント」は、リゾートな雰囲気で、オーストラリア各地や各国から来たザ・ガンの乗客も多数宿泊していた。朝、専用のバスがザ・ガンの駅まで乗客を送るために迎えに来てくれるのだ。

Adina Apartment Hotel Darwin Waterfront
(アディナ・アパートメント・ホテル・ダーウィン・ウォーターフロント)

所在地 7 Kitchener Dr, Darwin NT 0800
電話番号 08-8982-9999
URL https://www.tfehotels.com/brands/adina-apartment-hotels/adina-apartment-hotel-darwin-waterfront

 熱帯雨林のシャワーが降った翌朝、いよいよ憧れの大陸縦断鉄道ザ・ガンに、ダーウィンの駅でご対面。

赤い先頭車両に、シンボルマークのラクダ。ここからウルルへ向かう拠点となるアリススプリングスまで、1泊2日の鉄道旅が始まる。

2016.04.19(火)
文・撮影=小野アムスデン道子